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真剣で英雄(えいゆう)と恋しなさい!
2・川神院(朝)
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任せに押し返してくる、のを

 「いや、此処までは予定どおりだから」

 いいながら、押された肘を伸ばし百代の左手首を取って、軽くしたにひき重心を崩そうとする、が

 「そうだな、此処らへんは得意だよな元はっ」

 ぐっと力を込め、元の動きを止め、百代も元の右手を掴むと

 「ほーら、とんでけっ!」

 力任せに元を投げ飛ばす。
 一瞬驚きながらも投げられる瞬間地面を蹴りそのまま一回転し体制を立て直す元。

 「でたらめなパワーは相変わらずだよな、百代姉」

 「はん、弟に負けてやる気は組み手でもないね」

 「なら…一寸だけ、ギア上げるよ」

 「あぁ来いよ元」

 相対する二人、百代は前傾で拳を引き無双正拳突きの構え、対して元は体から余計な力を抜き構えなおす。
 暫しの静寂、そして次の瞬間

 「川神流無双正拳突き!」

 再び剛拳を突き出す百代の拳を今度は皮一枚の見切りで『捌き』再び踏み込む、超接近距離に踏み込み、足元、腰、肩と力を伝わらせて、右の寸打を放つ…放つ瞬間の動きに前兆は無く所謂無拍子と呼ばれる技法、そして振り抜いた後で遅れて風が巻き起こる、八坂流絶招の一つ『無風』。
 だが、本来普通の武術家なら反応できないそれを百代は反応してみせ、正拳突きの勢いを利用し身体を横に回転させながらかわしてみせる。
 次の瞬間、元の腹の辺りと百代の腹の辺りの胴着が切り裂かれ、一筋の痕が浮かぶ、お互いがぎりぎりでかわした為に拳速で胴着が切れ、そこに痕を残したのだ。

 そして次の瞬間

 「はい、時間切れネー、そこまでヨ、2人とも」

 ルー師範代の声が掛かる。
 その声にお互い最初の位置に戻って一礼し

 「てか、人の絶招簡単に避けるとか酷くない?」

 「お前はなんでこんな朝の組み手で絶招つかってるんだよ」

 「いや、折角だしかちたいじゃん?」

 「それは同意だけどなまったく、まぁでも最後のは結構よかったぞ」

 「入ったと思ったんだけどな、あれ」

 「お姉ちゃんとして弟に負けるわけには行かないからな」

 「ちぇ、まぁいいや師範代組み手お願いします」

 「まてまて、此処はお姉ちゃんに譲る所だろ」

 「百代姉は、鉄爺とやればいいじゃんか」

 「ジジイとはめんどくさい」

 そんな事を言い合っていると

 「というか、もう食事の時間ダヨ、2人とも、その後は学校ダロ」

 ルー師範代がそういってくる、時間を見ると確かに食事をしたりシャワーを浴びたりしたら学校へ行く時間だ。

 「了解です師範代、今日もありがとうございました」

 「それじゃシャワーだな、一緒に入るか弟」

 「だが断る、ってか一応男女別だろって」

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