進みゆく世界
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を欠き、支援者からの不況を買えば提供は無くなる可能性はある。だが、女性としてはどうでもよかった。切られれば別の、女性の手持ちの資金で出来る別の研究に映るだけだの話。或いは、別の支援者を探す事もあるだろう。
そもそも女性は、技術自体は好きだが、その利用法は好きではないことが多々あった。
だが女性には、これに携わる理由もある。だから、積極的に切られる動きをすることもない。
「頼むよ君。隣国の『錬鋼』に負けてもらっては困る」
「はい。大丈夫です」
苛立ち混じりの声を上げる貴族に、女性は適当に返す。
(超伝導の実験したい……液体窒素でアイス……トルマリンで……輪転弾倉……眠い)
女性はこの後には他の場所で、また別の技術の説明会への出席予定があった。研究者や技術者が集まり、そこで女性は発表をする。それが終われば暫く休みだが、女性は気が重い。理解が及ばない貴族と違い様々な質問などが寄せられるだろう。それだけ帰る時間が遅くなる。
(早く、帰りたいな)
休みに入ってまず最初に向かう場所を思い、女性は気力を絞った。
「疲れたなあ」
会合が終わり女性が帰途につけたのは夕方になってからだった。疲れた足に鞭を打ち、堅い反発を返す石畳の上を歩き家に向かう。その後ろを秘書が歩く。
乾いた風が吹き、枯葉が舞う道を多くの人々が歩いている。並ぶ煉瓦造りの家々に、あちこちに入口を晒す路地。カランと、風に揺れた看板が音を立て存在を示す。時たま見えるマントを羽織った人。手に持つ杖は、貴族と、魔法の証。魔法学院がさほど遠くない場所にあることもあり、来る学生も多い。
(魔法、か。今でも憧れはあるなぁ)
空を飛び、火の球を撃ち、水を操り、風を生む。そんな事に、女性は憧れがあった。
女性の体は疲れていたが、やっと解放された心は軽い。
(まあ、一番じゃなくなったけど)
自然とマントを追っていた視線を戻し、女性は足を進める。
自宅に帰り、女性は昼間にいた部屋に向かう。
「お疲れ様でした」
「うん。疲れた」
秘書に振り返る。
「これで終わりだよね。言い忘れてたって言われても、逃げるけど」
「ご安心を。言い忘れはありません」
「そう。よかった」
「存分に休み、好きな研究に没頭してください」
「そうだね。私は一番の方法で、休むよ。君も休みでいいよ。暫く適当にさ」
「は、はぁ……まあ、そういうことでしたらお休みをいただきます」
「うん。じゃあね」
手を振り、女性は秘書を見送る。
暫くし、完全に秘書が行ったことを確認すると、女性はカバンを持って部屋を出た。ベッドのある私室には向かわず、戸締りを終えると裏口へ。誰にも気
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