MR編
百三十一話 始まりは森の中で
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に以前聞いたキリトとサチ、リョウの昔話を思い出す。
自分にとってのキリトの寝顔と言うのは、強いてと言えばSAO末期の頃、今いるこの家と同じ場所で彼と過ごした思い出へと結びつく印象の強い光景だが、サチにとっては、その寝顔はずっと昔に彼女の救いとなった寝顔なのだ。
君は本当に色々な人を支えて来たんだねと、自らもそうである事を思いつつ愛しい人の寝顔を彼女は眺める。
……あぁ、やはり彼からは不思議な眠気誘発効果が有るようだ眺めている内、身体がふんわりと浮いて居るような……
「はい」
「あ、ありがと、サチ」
不意に目の前に差し出されたティーカップで、薄らいでいた意識が覚醒する。カップを差し出したサチはと言うと、クスクスと笑って囁くように言った。
「ふふ……今、ちょっと眠くなってた?」
「えっ!?あ、うん……ちょっと」
照れたように笑うアスナに、サチは何時ものように微笑んだ。
「それじゃあ、このお茶は眠気覚ましだね。丁度良かったかな……?」
「え?丁度良かったって?」
「うん、このハーブティね?オロパラ草で入れたんだけど……ちょっと飲んでみて?」
「?うん」
言われるがまま、うす黄緑色の液体を、アスナは少しだけ口に含む。と、丁度レモンに似た、さわやかな香りが薄く鼻孔を抜け、覚醒仕掛けだった意識をより鮮明に目覚めさせる。
「これ……レモングラス?」
「うん。正解。この前偶然発見したんだ。眠気覚ましには良いかなって」
「うん……わ、凄い……ホントにそっくり……」
もう一口飲みながら、アスナは改めて驚いたように言った。以前アスナが飲んだ事の有るハーブティに、その味は香りは本当によく似ていたのだ。
「リズさん、れもんぐらす、って何ですか?」
「えー?知らないわよ。レモンの親戚じゃないの?」
「イネ科だから少なくともレモンじゃねぇな。まぁレモンっぽい香りのハーブだって覚えとけ」
二人が何の話をしているのか分からないリズとシリカが顔を見合わせて、リョウが苦笑しながら突っ込む。
その様子に、同じく苦笑したリーファが不思議そうに聞いた。
「寧ろ何でリョウ兄ちゃんは知ってるの?」
「あー、いや、こないだ此奴が大発見大発見言って大興奮してた時にさんざっぱら説明された」
「……言わないで……」
肩をすくめて言ったリョウの一言に、嬉しそうな顔を急に朱くしたサチが俯いて浴衣の端をつまみながら小さな声で言った。
へいへい。と言いながらリョウは苦笑すると、お目当ての物の存在を思い出したのか、それより、と前置いてサチに問う。
「タルト、切り分けて良いか?」
「あ、うん、そうだね。リョウは座ってて?すぐ分けるから……」
「ん……おう。頼んだ」
俺がやるとどうも切り口がなぁ……とか言いながら、憮然と
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