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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十一話 始まりは森の中で
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だな。ぶっちゃけ雰囲気で解いても何とかなるし」
「またリョウ兄ちゃんは感覚的な事言う……まあアタシも人の事言えないけど……」
教えたんだから文句は控えとけよ。とリョウが苦笑するのに対してふふーんと笑いながら宿題を進めるリーファを見て、アスナが微笑む。
彼等兄妹は、キリトも含めて本当に仲が良い。共に一つ屋根の下で其々家事をこなしながら暮らし、互いに助け合い、時には喧嘩して日々を暮らす。
本人たちに自覚は無いだろうが、まさしくして、それは理想的な兄妹像だとアスナは思う。アスナにも兄や従兄弟は多く入るが、彼等のようなお互いを温かく支え合うような関係には程遠い関係性だ。
兄が自分の事をどう思っているのかは、正直な所よく分からない。昔は、まだ少しは兄妹らしく要られていたように思う。けれど今は、彼との距離感も上手くとれなくなってしまった。

と、ストン、と、隣からふわふわしたものがアスナの肩に当たる。
アスナは微笑んだまま、ぴくぴくと耳を動かし幸せそうに寝息を立てる彼女の耳を少しくすぐりながら、言う。

「ほら、シリカちゃん?またギリギリになっちゃうよ〜?」
「うにゅ……むにゃ……」
「うーん……」
むにゃむにゃと反応は示すものの、なかなか覚醒しない彼女に、アスナがどうしようかと思案し始めた時だった。

「起きろ」
「……ぴゃっ!!?」
不意に後ろからリョウの声がして、その瞬間シリカが跳ね起きた。リョウがシリカの両猫耳を、一瞬だけピンっと引っ張ったのだ。
この猫耳は、以前のシノンの例で説明したように本来人間には無いにも関わらず感覚の有る不思議器官なので、一瞬だがシリカには“相当変な感覚”が走った筈だ。

「あー、もう、リョウ……」
「り、りり、リョウさん!止めてください!」
アスナが呆れて言い、シリカが顔を朱くして抗議するのを、リョウは涼しい顔で受け流す。

「寝る奴が悪い。ん?なんだよ、もうちょいじゃんそのページ。ほら教えてやるからさっさとやるやる」
「な、そ……う…………」
「ほれ、はよ見る」
言いながら、リョウはシリカの後ろに座って計算式を睨み始める。
真横にリョウの顔が来る形となったシリカは、流石に恥じらいが文句に勝ったのか、顔が朱いまま、しかし大人しく従い、計算式を見る。

『もう……』
こういう所、従弟と同じで無自覚なんだろうなぁ、と、アスナは苦笑気味に微笑みながら思った

シリカにとってのリョウと言うのは、言わば“憧れのお兄さん”的な立ち位置だと、シリカのリョウに対する態度や言動からアスナは理解している。

昔まだSAOに居た際、シリカはリョウに命を救われた事があるそうだ。
リョウはその時は別件で偶然シリカと知りあったそうだが、その頃からリョウはシリカに何かと世話を焼いて居たらしい。

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