MR編
百三十一話 始まりは森の中で
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
反射した白い雪が舞い、一面を白く染め上げられた其れは、素朴で、同時に美しい。
どうせ疲れる訳でもないのだから、雪かきや濡れ、疲れの心配が無いこの世界で、ゆったりとこういう風景を満喫するのも悪くないかと思ったのだ。
「おっ……」
と、そんな感慨に耽りつつのんびりと歩いて居たリョウの視界の先に、柔らかな橙色の光が見えた。
其れはこの浮遊城がまだ妖精では無く、唯の剣士たちの世界で有った頃から、其処に有る光だ。
今は家主は違うが、其れは昔はリョウの自宅の物であり、同時に其処に自分を待つ人が居てくれていると言う証明でもあった。未だに森の中にあの家と光を見つけると少し心に温かい物が灯るのは、そのせいなのだろうなと思いつつ、リョウは歩く。やがて、森の中のログハウスの玄関が、カラカラと言う音を立てて開いた。
────
此処、22層に有るログハウスをずっと購入したいと言っていたのは、SAO時代個の家の屋主でもあった、アスナが一番初めだった。
何しろ五月に実装されたこの《浮遊城アインクラッド》のマップに置いて、十二月後半に解放された21層のフィールド及びボスを、アスナを中心としたキリト達レイドメンバーは解放されたその日に突破したのだ。
22層には森いがい特に何もないし、此処のようにエリア端に有るログハウス等そもそも知っている人間が居るかどうかすら怪しいのだから、何も其処まで急がずとも全く問題は無いだろうとリョウ等は内心思ったのだが、まるでそのほんの少しの可能性が何より恐ろしいかのように必死になっているアスナを見ると、流石にそんな事を言いだすわけにも行かなかった。
そんな彼女の相手をする羽目になった21層ボスは、ある意味全ボスの中で最も運の悪いボスかもしれないなとリョウとしては感じている。
半分治癒師の癖に、前面に立って何時ものワンドではなく昔からの彼女の得物である細剣振りまくって、もしかしたら瞬間的にならリョウを超えていたのではないかと思えるほどの大暴れっぷりを見せた彼女を、クラインは「昔のKoB副団長よりも凄かった」と評したし、実際、其れにはキリトもリョウも同意だった。
まぁお陰で《狂治癒師》の二つ名に拍が付いた事に関しては本人は不満そうだったが、それも仕方が無いと言う物だ。
まぁ何はともあれ、そんな必死さと共に22層のフィールドを駆け抜けた彼女は、見事に、再びこのログハウスの所有権を得る事に成功した。
誰よりも早くログハウスにたどり着いた彼女にキリトやリョウが追いついた時、それまで鬼のような強さを見せつけていた彼女がへたり込んで振り向き、「やったよぅ……」と情けない声を上げた事や、その後キリトと10歳児サイズのユイ、晴れて再びお隣さんと成ったサチ、リョウで、ささやかなパーティを開い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ