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SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
4.闇夜の初実戦
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で掴む。利き手と逆の手は、槍の中腹部分からやや切先側をしっかりと指で輪を作って、だが余裕を持ってその中に通すように槍を持つ。

 この構えは、船のオールを動かすように槍を扱う構えだ。構えたまま利き手をただ思い切り振り下ろせば、下から上に半円を描くように槍の中腹を押さえる手を支点にして切先が跳ね上がる。相手の攻撃を捌くのにも、逆にこちらの攻撃にも使える動きが出来る初動の隙を限りなく抑えた構えだ。

 俺が構えても、目の前のイノシシはこちらを意識しない。
 弧紋の型は基本的に受けの型。しかし、上半身の構えはどんなときでも応用は利く。俺はその構えのままイノシシに突進をかけ、イノシシに槍を放った。石突きの方を持って上げてある右手を、勢い良く降り降ろしながら左手にくっつけるように押し出す。そうすることで、槍の切っ先が下から螺旋を描くような突きを放つ。
 俺が攻撃を放った瞬間、イノシシは俺に気付いたようにその顔を上げたが、時すでに遅し。イノシシの側面――前足の付け根と肋骨の隙間、心の臓があると思われる場所に、螺旋が描く円が集束するような軌道で、槍の刃が突き刺さった。
 普通ならそれで終わり。生き物ならそれで絶命するはず。
 しかしイノシシは、瀕死には程遠いような動きで身をよじって槍を抜き、小走りで少し離れてから再びこちらに突進してきた。

「……少し、気味が悪いな」

 イノシシのHPバーは明らかに減っている。だが弱るのではなく、逆に興奮した様子で突進してくる。

 ――このイノシシの一撃を受けたら死ぬのだろうか?
 ――自分の死が近づくのだろうか?

 そんな考えが一瞬浮かんだが、しかし鼻息荒く近づいてくるイノシシには、今まで幾度となく稽古で対峙してきた祖父のような圧力は感じない。
 俺は突進してくるイノシシを、横に回りこむように冷静に避ける。避け続ける。そのまま少しだけイノシシを観察する。イノシシは基本的に突進しかしてこない。たまに目の前で急停止して頭を振って牙を当てようとしてくるが、急停止から頭を振るまでは少しだけタイムラグがあるので楽に避けられる。
 イノシシの攻撃パターンを把握した俺は、先ほどとは逆の前足と肋骨の隙間に何度か槍を突きたて、イノシシを仕留めた。最後に突き刺した瞬間、イノシシは硬直しその後爆散。輝く細かいガラスの破片のようなものが周囲に散らばって透き通るように消えていった。

「……意外に手間取ったな」

 梃子摺った、ではなく手間取った。予定では最初の一撃で仕留めていたはずだ。
 HPを全て削らなければ、敵はその攻撃を止めることはしない。解っていたはずだが、やはり違和感は残る。

「……だが逆を言えば、俺も一撃もらったくらいじゃ動きは鈍らないということか」

 死中に活。怪我の功名。
 よ
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