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レンズ越しのセイレーン
Ready
Ready2 ニケ
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りた。

「とーさま。バランおじさま」
「写真は撮れたか?」
「うん」

 ユースティアは画面を合わせて、バランにカメラを差し出した。バランは覗き込む。被写体のタンポポが風に吹かれて綿毛を飛ばす瞬間が、奇麗に切り取られた写真だった。

「へー、造花なのに凝った作りだなあ。ユースティアの粘り勝ち」

 バランはユースティアを抱え上げ、膝の上に乗せてやった。本当ならユリウスがこうしたいだろうが、時歪の因子化が進んだユリウスは、痛みに邪魔されてそれができない。だから代わりにこういうスキンシップをバランとアルフレドが担当し、人心地の良さを教えてやるのだ。

 こうして慈しむことで、例えばいずれ現れるエルを殺したくないと思う性格になるかもしれない。それでも少しでも人らしく育てることが、せめてバランにしてやれることだった。
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