暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
静穏 Silent Beat
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によって一瞬一瞬で種類の変わっていく《弊害》を一つでも見逃せば、その直後に目の前にいる老人に叩き殺されるであろう。

《限界を超える》と口に出すのは簡単だが、ここまでやって初めて成し遂げられる技であり、そこまでやったとしてもやはり《ヒト》という一種族の限界というものは明確無慈悲に存在するのだ。単に強大な力を持っていれば強い、という話ではない。結局、莫大な力を振るう者には莫大な力を操るだけの技術や資質が不可欠なのだ。

《心意》の力を得ただけで、絶対的強者のポジションに建てるわけではない。元から強大な力や技術、それらを操作できるだけの力量を持つ者だからこそ、特殊でイレギュラーでアブノーマルな《心意》という力を上乗せする事で彼らは常人には想像もできない領域にまで足を踏み入れる。

そして同時に、その領域にまで脚を踏み入れる両者だからこそ、互いの《心意》について、常人では解からないことを汲み取っていく。

「………第一象限、《個を対象とする正の心意》。五色理論に基づく属性は土。イメージは『堅実な攻め』。そこに相反する水も加えることにより、柔軟さをプラスしているってわけか」

「かっかっか、見ただけでそこまで読み取るか。やはり君は、この世界にとって危険な代物じゃの」

「だったら落してみたら?危険分子♪」

ニィ、と横に引き裂かれるような笑みを皮切りに、両者の姿が掻き消える。

空中に、莫大な力と力が激突した事によるスパークが迸る。

生み出される余波は、存在する重力子をまとめて歪め、空間を軋ませる。

「ッ!ハンゾウッ!!」

「はっ!!」

ヴン、と。

翅が鳴るような奇怪な音とともに、老人の背後に新たな影が滲み出た。

先程のあの男だ。この局面で呼ばれるということは、幹部の中でも特にシゲクニに信用を得ていないとできない。脳内の要チェックリストにハンゾウと書き加えていると、何かが引っかかった。

そう、昔こんな名前をどこかで聞いたことのあるような。

既視感ならぬ、既聴感。

ソレに思い当たり、少年は老人を飛び越し、痩身の男に思わず叫んでいた。

「《無形(むぎょう)》――――!」

その言葉に、絶対に笑わないだろうと思うくらいに引き結ばれていた口許に、これ以上ないほどの野卑な嗤いが浮かんだのは、気のせいだったのだろうか。

グッ!と傍目にも分かりやすすぎるくらいに、一人の老人と一人の男の全身に力が行き渡る。

その段階になり、少年の理性はやっと自体を認識し、そして――――

絶叫した。

闇が、爆発した。










「あぁーあ、逸らしたと思ったのに。威力までは計算に入れてなかったよ」

ぶつくさと文句を垂れる少年は、地面に寝っ転がって
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