名探偵ヤン艦長の推理 人形師のお宝を探せ その二
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動く同盟政府地方振興の公共事業の柱の一つだ。
正解者が口を噤む程度の金銭なんぞ、余裕で出せるという事か。
たとえば、戦艦並みの製造費用がかかっている最新型アンドロイドの供与とか。
もちろん、欲をかいて殺されたやつもいるのだろう。
ヤンは拾った宝くじが当たったかのような顔で、ため息をついてみせる。
「ニルヴァーナプログラムを公表する事による君たちのデメリットを」
「現状、七割以上の私達はニルヴァーナプログラムへの対策を済ませています。
むしろ、戦場で回収したものを使っていたり、密製造している帝国側にはこの対策が無いのでダメージを与える事ができるでしょう」
同盟内部で、三割のアンドロイドが初期化されるなんて十分にコンピューターテロとして十分だ。
それよりも、技術差では専制国家特有の技術停滞もあいまって、十年近く開いている技術格差でアンドロイドは作られているから、戦場からの回収とフェザーンを使った輸入品を使っている帝国だとこれは致命傷になりかねない。
帝国での悪影響を考えるならば今まで使わなかった事がおかしいと考えて、ヴァンフリート星域会戦に思い当たる。
「そういうことか。
軍は既にニルヴァーナプログラムを使用していたんだな」
財宝どころか、最悪の厄ネタじゃないかとヤンは憚る事無く頭を抱える。
そこで頭まで止めないのがヤンの頭脳の救いようのない所なのかもしれないが。
「どうして、軍はニルヴァーナプログラムを回収しなかったんだ?」
その質問にセントルシアの実体化モデルはあっさりと人形師の言葉で答えた。
「『ハンデ』だそうです。
何に対してのハンデなのか知りませんが、お父様が生きている間は、軍および政府関係者がどれだけ説得してもニルヴァーナプログラムを回収させませんでした」
本人はこの世界をめちゃくちゃにしている自覚があったからこそ、あえて帝国が取りにこれるシヴァ星系にこのニルヴァーナプログラムを置いたのだ。
本人が金髪赤毛と当たるのならばこんな事はしなかったが、確実にすれ違う事が分かってしまったからこそのハンデである。
これで金髪赤毛がニルヴァーナプログラムを持ってゆくようならば、それはもう自分の負けだと。
その人形師も今はこの世を去り、ヤンは気づかなくてもいい所にまで気づいてしまう。
本当に緘口令を敷いておいて本当に良かったと。
「そういう事か。
この出兵そのものが、ニルヴァーナプログラムの回収作業も含んでいるんだな」
セントルシアの実体化モデルは正解である事を凜とした声で言い張って見せた。
「今作戦の機密指定によりお答えする事ができません」
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