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SAND BEIGE -砂漠へ-
第三章
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「暫くここにいさせて」
「お気に召すままに」
「収まればまた言うから」
 涙が止まれば、その時に。
「今はね」
 私はガイドさんに背を向けて立ったまま泣き続けた、夜の砂漠の中でただ一人泣き続けた。
 それから決めていた日数だけ過ごしてだった、私は日本に戻った。
 日本に戻るとすぐに彼女と会った、そのうえでこう言った。
「暫くは一人でいたいわ」
「新しい恋は探さないのね」
「今はね」
 少しだけ微笑んで答えた。
「そうするわ」
「そうなのね」
「静かにいたいから」
 今の間は、言葉の外でこうも言った。
「そうさせてもらうわ」
「わかったわ、じゃあそうするといいわ」
「静かになったから」
 だからだった、今は。
「もう暫く静かな中にいたいから」
 あの夜の砂漠の中にいた時の様に、あの感じを忘れないまま。
 私はまだ一人でいることにした、静かに一人でいるのもいい、そう思って。


SAND BEIGE -砂漠へ-   完


                            2013・6・1
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