第二章
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「それでなくなったのね」
「そうです、それで遠出は」
「遠慮するわ」
最初からそんなことは考えていなかった、この国に来たのも半分以上思いつきでそこまで考えていなかった。
それでだ、私はガイドさんに言った。
「この辺りを回ってね」
「カイロとその周りだけですね」
「面白そうな場所を案内してくれるかしら」
「わかりました、それじゃあ」
こうしてだった、私はガイドさんにまずはケバブが美味しい店を案内してもらいそれから観光名所、世界的なそうした場所を巡った。
けれど私は何処に行っても特に何も思わなかった、見ることは見ていたけれど。
スフィンクスを観てもピラミッドを観てもだった、特に何も感じなかった。
空虚な気持ちだった、ただそれでも。
何処か落ち着けた、それでガイドさんにこう漏らした。
「人は多いけれど」
「何かありますか?」
「ええ、静かな気持ちね」
そうなっているとだ、私は答えた。
「だからもっとね」
「静かになりたいですか?」
「観光地だけれど」
人が多い場所でそうした気持ちを求めること自体がどうかしているとわかっていてもだった、今の私はそれを求めてだった。
ガイドさんにだ、また言った。
「そうした場所はないかしら」
「そうですね、では」
ガイドさんは私の言葉に応えてだった、この場所を言ってくれた。
「一人では案内出来ませんが」
「それは無理なのね」
「危ないんですよ、ここも」
このカイロもだというのだ。
「何かとね」
「そういえばスリもいるわね」
「スリだけじゃないんですよね、タチの悪いのもいますから」
所謂凶悪犯もいるというのだ、観光地にいるのはこのガイドさんみたいに気さくな人ばかりという訳じゃない、私もこのことはわかっていた。
その私にだ、ガイドさんはさらに話してくれた。
「だから一人じゃ絶対に、何処でもですけれど」
「行かせられないところなのね」
「はい、私も一緒に行かせてもらいますがいいですね」
「ええ、いいわ」
空虚な気持ちでも安全は守りたかった、自暴自棄にはなっていなかった。
「それじゃあね」
「夜です」
その時にだというのだ。
「その時にご案内します」
「わかったわ、それじゃあね」
「夕食の後に」
その時にだというのだ、それで私は昼から夕方まではガイドさんが案内しれくれた場所をただ見て回った。
それからだった、夕食の後で。
ホテルでシャワーを浴び終えた私に連絡が来た、隣の部屋にいるガイドさんからだった。
携帯が鳴ったので出るとこう言って来た。
「じゃあ今から行きましょう」
「わかったわ」
「お部屋の外に出てくれますか」
「それでよね」
「案内させて頂きますので」
そうしてだとだ、ガイドさん
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