六十九 約束
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目する綱手を大蛇丸はねっとりとした眼差しで見据えた。
「綱手…お前にとっての最愛の人を―――」
弟・恋人・弟子。
弟と恋人の死もまだ受け入れられずにいるのに、ましてや弟子までも失う事が綱手には耐えられなかった。
シズネの諫言に耳を貸さず、ひとえに黙する綱手を見て、大蛇丸が満足げに頷く。
「返事は今すぐじゃなくても構わないわ。一週間あげる」
溢れる血臭。その中で仄かに香る酒気に「酔っ払いは相手にしたくないの」と大蛇丸は苦笑を漏らした。
「今度は昼間に会いましょう。色好い返事を期待しているわよ…――綱手」
最後に一瞥を投げ、立ち去った大蛇丸とカブト。
彼ら二人の気配が消えるにつれ、綱手とシズネの前に見知った顔が近づいてきた。
「綱手…!何があったっ!?」
カカシの忍犬を筆頭に自来也と波風ナルが駆けて来る。
濃厚な血臭が鼻に衝いて顔を顰めるパックンに対し、ナルは血の気が引いた。酷い惨状に顔を青褪める。
「あ、アマル…?ど、どうしたんだってばよッ!?一体何が…」
先ほどまで仲良くお喋りしていた友の有り様に、動揺のあまり支離滅裂になるナル。弟子のうろたえ様を見て逆に冷静になった自来也が一喝した。
「とにかく医療設備がある場所のほうがいいだろう!この街の病院へ連れて行くぞ!!」
「は、はい!」
自来也のもっともな発言に、シズネは一端治療の手を止めた。素早くアマルを背負った自来也と共に、病院を捜す。
再びパックンの先導で走り出した自来也とシズネの後ろ姿を見て、ナルは慌ててトントンを抱えた。追い駆けようとした矢先、未だ呆然と佇む綱手の姿が目に留まる。
「…行こうってばよ!」
綱手の手を掴む。ナルに半ば強引に引っ張られ、綱手は足下に広がる血の海から逃れた。自来也達の後を追う。
城跡と化したその場には、飛び散った赤い染みと血臭のみが残された。
怪我人を連れて駆け込んだ病院。
シズネが治療に携わるのに対し、当初渋っていた町医者だが、綱手の名を出すと手のひらを返したように快く応じた。一般人と言えども医療スペシャリストとしての綱手の名前は存外知れ渡っているようだ。
しかしながら控室で待つのは自来也とナル…そして当の本人の綱手であった。
「なぁ、姉ちゃんが綱手っていう何でも治せる凄い医療忍者なんだろ?」
自来也が彼女を綱手と呼んでいたのを聞いていたナル。故にこの人がアマルの師匠かと思い当ったのだが、手術室に入ってゆくシズネと町医者に対し綱手は控室に残っている。その現状に首を傾げる。
なぜ治療しないのか。綱手が此処にいる事自体がナルには不思議だった。
しかし怪訝に思うより先に、綱手に頼み込む。
「
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