第一章 「グレン・ポッターと賢者の石」〜Glen Potter and The Philosopher's Stone〜
4話 The wand made by Ollivander.「オリバンダーの杖」
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四話「オリバンダーの杖」
辿りついた「オリバンダーの店」は言われなくてもすぐに分かるグリンゴッツとは真逆で、これだと言われるまで気付けないような、グレンの思った以上に小さくみすぼらしい店だった。
店内に入ると奥でチリンチリンとベルが鳴る。その瞬間、グレンはゾクリと背筋が凍りついた。まるで、舞台の中心に突然立たされて大観衆に自分の心の中まで覗き視られようとしているような、気味の悪い感覚がしたのだ。
「いらっしゃいませ」
店の奥から、杖の入っているであろう箱を抱えてオリバンダー老人は現れた。
「こんにちは。グレン・ポッターです」
僅かに緊張しながらも、グレンは頭を下げて挨拶をした。オリバンダー老人はそれを聞いて目を輝かせた。
「おぉ、ジェームズ・ポッターの息子さんですな。お父さんと良く似てらっしゃる・・・しかし、中身はあまり似ておらんようですな?」
中身とはつまり性格のことだろうか。グレンは、今知ったばかりといった素振りで訊いた。
「父もこのお店で杖を買ったんですね」
「その通り。私はこの店で買われていった杖とその持ち主を一人残らず覚えておる。
君のお父さんは二十八センチのマホガニーの杖を買っていったのじゃ。優秀でよくしなり、特に変身術には最高の杖じゃった」
そしてオリバンダーはグレンの隣にいるモラルドをちらりと見た。
「そして、君のお母さんは一人でこの店にやってきた。気に入ったのは27センチのトウヒの杖で、繊細で気まぐれだが強い力を秘めた杖じゃった。どうやら母上と波長が合っていたようじゃ」
モラルドはオリバンダーの話に興味なさそうにふんと鼻を鳴らした。だがしっかり反応する辺り、実はこっそり自分の娘の話を一字一句逃さずしっかりと聴いているんだろうなとグレンは思った。
そしてオリバンダーはポケットから銀色の巻尺を取り出し、グレンに向かって訊ねた。
「さてポッターさん、杖腕を拝見してもよろしいですかな?」
そう言われて、グレンは左腕を差し出した。オリバンダーはグレンの腕の長さから杖を使うには全く関係ないと思われるような所まで、巻尺で至る所を測り始めた。
「これから杖を見せるのじゃが、オリバンダーの杖には様々な特性の力を持つ木材とそれに強力な魔力を持ったもの―一角獣の毛、不死鳥の羽根、ドラゴンの心臓の琴線のいずれか―を芯に使っておりまする。木も芯を提供する生物も皆それぞれに違う個性があるゆえに、ここの杖には一つとして同じものはないと予め言っておきたい。
そして、先ほどはあなたの父上や母上が気に入ったと言っていたが・・・実は本当は杖が持ち主の魔法使いを選ぶのじゃよ。だから、他の魔法使いの杖を使うことがあっても、決して自分の杖と同じような力を出すことは出来ないのじゃ」
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