決意
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まぶしいばかりの笑顔をみせた。
「せやろ!?さすがわたるさん!!ウチの気持ちホント良く分かってくれるわぁ〜!!」
「ああまぁな。なんせ『旦那さま』やしな」
「せやな!!それにな、ウチ、新しい目標もあんねん!!」
「…………………なんや?」
リュータンが元気になったことは喜ばしいが、リュータンが元気になって突っ走りすぎるとロクな事がない。
自分の現在の魅力を忘れて昔の演目を強引にやったこともあった。
すき焼きはこがしすぎるし。
俺とリュータンがくっついたきっかけも、気落ちする俺をリュータンが励ましたり褒め揚げたり、とにかく最大限の魅力で魅了してきたために、すっかりその気になった俺が押し倒してしまった事に起因している。
だから、少し構えて訊ねてみると
「かわいらしいお嫁さんになんねん!!」
と、随分かわいい事を言い出した。
「だってな、エリも『可愛いお嫁さんになります』っていったんやで!?あのエリが。
エリがなれるんやったら、ウチかてなれる、そう思うやろ?ウチかて、かわい〜お嫁さんになって、わたるさんと仲のええ夫婦になるんや!!」
と、両手で俺の片腕に絡み付きながら話している。
あー、もう、可愛いな!!
気を抜くとすぐにやけてしまう顔をどうにか立て直し
「ほんなら俺は、『頼りになる旦那さん』にならなあかんな」
と言った。
「かっこいい『タカラジェンヌ』を一人損失させた挙句、かわいらしいお嫁さんを独り占めするんやもんな?」
「?わたるさんはもう『頼りになる旦那さん』やし、ウチはず〜っとタカラジェンヌやで?」
「ウチは、ずっと宝塚にいたかった。宝塚から離れるなんて、嶺野白雪やなくなるなんて想像もつかなかった。…顔にやけどが出来て、退団せなあかんと思った時も、退団しても自分は嶺野白雪や〜、と思っとったの。
…でもな、わたるさんが「結婚しよう、お前と結婚したいんや」て言ってくれて。なんや、こんな私でも、嶺野白雪でなくてもええんかと思って…。そんな風に思わせてくれるわたるさんが『頼りになる』って思ったからこそ結婚しようって思ったんやで?」
それにな、と、彼女は得意げに続けた。
「ウチは乙女やのうなっても、ずーっと心は『タカラジェンヌ』や。『清く、正しく、美しく』そうあろうと思ったからこそわたるさんが好きになってくれたウチになったんやし、ウチかてわたるさんが好きになってくれたウチが大好きや!
ウチはなーんも変わらん。生きてる場所が舞台からわたるさんの隣になっただけで、やっぱりリュータンは永遠やな!」
ふいに涙が出そうになった。
リュータンが、彼女がそこまで俺の事を信頼してくれている事が、嬉しかった。
今まで、誰にも期待されず、戦争にも行かず、誰一人としてまともに守れなかったこの俺
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