秋の良き日
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戦争は終わった。
リュータンさんは影山先生と結婚披露宴を挙げた。
戦争直後にもかかわらず、
「呼べる人はみんな呼んで、このリュータンの一生に一度の晴れ姿、大勢の人の目に刻みつけてやるんや!」
というリュータンさんの鶴の一声で、それはそれは絢爛豪華な式になった。
・・・すきやき屋だったが。
燕尾服を着たリュータンさんと、紋付き袴の影山先生が、幸せそうに招待客にお肉をふるまう姿が印象的だった。
「せんせ、お幸せそうですね!」
紅が肉を口いっぱいに頬張りながら声をかけると、影山先生は
「おお、好きな女と結婚できるんや。戦争で死に別れた人たちも多い中、こんな幸せな事はない。幸せなのに辛気臭い顔してたら、それこそ失礼な話や。…タッチー食ってるか?」
と嬉しそうに答えながら、私の方に顔を向けた。
私は食べ途中のお肉を慌てて飲み込んで、
「…食べてます。というよりおかげ様でこんなにお腹いっぱいお肉を食べたの久しぶりで、ちょっとお腹がびっくりしないか心配なくらいです」
と答える。
「そうか。お前はこれから雪組トップになるんやし、栄養つけてはよう最高の状態でお客様の前に出ていかなあかん。もっと食べ。こんな時でもなけりゃ、まだまだご馳走は用意できへん時代やしな」
「・・・タッチートップなんですか!?」
「え、えっ!?すごいタッチー、トップなの!?やったね、おめでと!!」
その時まで無言で食べつづけていたエリが喉を詰まらせながらも驚きを表し、紅もかまぼこのような目をさらに大きく見開いて大きな声で叫んだ。
「かまぼこ、声が大きい!!宝塚関係者以外の方も大勢来てはるのに、まだ公式発表もしてへん事をそないに大声でゆうたらあかんやろ!!」
「あ、リュータンさんごめんなさい!!まだ発表してなかったんですね!?私てっきりもう発表したから教えてくれたのかなぁとか思っちゃって・・・」
「アホ。あんたもう何年タカラジェンヌやってんの。しかもあんたはタッチーの同期やないの。
これからトップになる生徒の不安を少しでも取り除いてやるために、同期の上級生くらいには事前に話をしておいてやろうという、うちの頼もしい旦那様の優しい気持が、あんたには伝わらへんの!」
「ううう…すいませーん…」
紅を怒りながらもそれとなく惚気ているリュータンさんを眺めつつ、エリが呟いた。
「もう十分大声で響き渡ってるんですけど…」
「エリ!なんか言うた!?」
「はい!『リュータンさんの声は、いつ聞いても良く響いているなぁ』って言いました!」
「そうやろ!退団したとはいえ、うちは天下のリュータンや!うちの声は、舞台、や、世界に響き渡って当然や!」
「リュータンさんかっこいい・・・」
いつものように、リュータンさんが自分を賛美し、それを紅がうっとりと眺めてい
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