第五十五話 演奏その十二
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「だからよ」
「それでなんですか」
「もうなんですか」
「そうよ」
その通りだというのだ。
「だからいいわね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
五人も応えそしてだった。
今度はウェイトレスに専念する、五人は店のことでも忙しかった。
そしてクラスに戻ってもだ、そちらもだった。
忙しい、琴乃はお化け屋敷に受け持ちの化け猫の格好に戻ってからそのうえでこうクラスメイト達に言うのだった。
「さっきまでバンドで演奏してね」
「ウェイトレスもしてたのよね」
「そうよね」
「そうなのよね」
こう言うのだった。
「もう大変よ、滅茶苦茶忙しいわ」
「それでも顔は明るいわね」
クラスメイトの一人が忙しいと主張する琴乃の顔を見て言って来た。
「かなり」
「そう見える?」
「見えるわ、活き活きしてるわよ」
今も琴乃の顔を見て言う。
「充実してるでしょ」
「確かにね」
充実という言葉にだ、琴乃は答えた。
「私今かなり充実してるわ」
「忙しいけれどね」
「楽しいのよ」
クラスの方も部活の方もだというのだ。
「いい感じよ」
「そうよね」
「待ちに待ったって感じだったし」
この文化祭自体をだというのだ。
「波に乗ってるわね」
「いいわね、けれど」
「けれど?」
「疲れには気をつけてね」
そのことにはというのだ。
「琴乃ちゃん殆ど休んでないでしょ」
「確かに。夜だって」
飲んで騒いでいる、まさに不眠不休の感じだ。
「宴会三昧だしね」
「だからよ、少しは休まないと」
「倒れるっていうのね」
「文化祭の間はびしっとしていても」
「それが終わったら」
「そう、気が抜けてね」
あらゆることに終わりがある、それは文化祭もだ。その文化祭が終わった時こそというのである。
「がたっといくことがあるから」
「ううん、気が抜けて」
「そう、倒れるからね」
「病気とかになるから」
「だから気をつけてね」
お化け屋敷の中で客達を驚かせつつ琴乃に話す。琴乃も化け猫になって同じ様に驚かせている。そうして楽しんでいる中でもだというのだ。
「時々でも休んで」
「身体が大事よね」
「そう、休んでいこうね」
「じゃあ今も?」
「そう、今もよ」
この時間もだというのだ。
「休み時間になったらね」
「休むべきなのね」
「だから休憩時間があるのよ」
この時間は無駄にあるのではないというのだ、休憩時間にしても。
「休める時に休まないと身体がもたないからね」
「授業中は休み時間は有り難いけれど」
「好きなことをしてるとでしょ」
「それこそ何時間でもぶっ通しでしても気にならないから」
人間はそうしたものだ、好きなものはどれだけ長くやろうとも疲れを感じることはな
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