第五十五話 演奏その十一
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「あの虎も大きいのよ」
「じゃあ阪神は本来は強いのね」
「強い筈なのね」
「一時期は弱かったけれど」
「本当は」
「そう、とにかくね」
虎とライオンを比べると、というのだ。里香はその話に戻した。
「虎の方が強いの。ちなみにシャチと鮫でもシャチの方が同じ大きさでも体重が全然違っていて」
鮫が数百キロしかないのに対してシャチは数トンだ、魚類と哺乳類では身体の構造が根本から違うからだ。
「闘わせたら鮫が食べられて終わりだったそうよ」
「ううん、シャチも怖いのね」
「海の方も」
「そう、それで虎もね」
「ライオンに出来たのなら」
「虎にも」
「絶対に黄金時代を迎えられるわ」
こう言うのだった。
「猛虎のね」
「その言葉、絶対に適って欲しいわね」
琴乃は里香の普段の彼女とはうって変わった強く熱い言葉にしみじみとして呟いた。
「十連覇とかね」
「それ出来たら凄いな」
美優もこう言う。
「阪神の十連覇か」
「そう、十連覇」
「それが出来たら」
景子と彩夏も言う、そしてだった。
そうした話をする五人にだ、部長が言って来た。
「あんた達お店にも出てね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「衣装はそのままでいいから」
むしろそれで出て欲しいというのだ。
「すぐに出てね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「お店忙しいし」
実際にお客さんはかなり多かった、繁盛していると言っていい。
そうした話をしてだ、それからだった。
五人は店のウェイトレスに入った、すると。
「コーヒー一つ」
「紅茶お願いね」
「こっちはクレープね」
「ホットケーキお願い」
お客さん達が次々と注文してくる、それでだった。
その彼等の注文を受けてカウンターから注文を報告した。
「コーヒーです」
「紅茶です」
「あとクレープもホットケーキも」
「それぞれ」
「わかったわ」
その話を聞いてだ、調理担当のメンバーはすぐにだった。
調理に入る、その中でこうプラネッツの五人に返す。
「すぐに出来るからね」
「ドリンクはすぐに出来るから」
「ちょっと待ってね」
「持って行ってね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
五人も応える、すると応えたまさにその瞬間にだった。
その注文したメニューが来た、それで言うのだった。
「うわ、もう出来たんですか」
「速いですね、本当に」
「作ってすぐにですね」
「もうなんですか」
「速い安い美味いよ」
調理の先輩の一人がこう言って来る。
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