第五十五話 演奏その九
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「やっぱり阪神がダントツね」
「うん、阪神の曲ばかりでいったらね」
「凄い人気だったわね」
「そうだったわね」
「特に八十五年な」
やはりこの年だった。
「バースは皆知らない筈なのね」
「掛布も岡田もね」
「真弓も他の人も」
「あの頃は」
「そうよね、これでいってよかったけれど」
その中でもだとだ、琴乃も言うのだった。
「八十五年が凄かったわね」
「確か八十五年からすぐだったわね」
ここでだ、景子が言う。
「暗黒時代になったのよね」
「八十七年からね」
里香はその詳しい年も話した。
「セリーグの全球団に負け越して」
「ダントツの最下位になったのよね」
「そう、それで星野さんが来るまで」
中日のスター、まさに中日の代名詞とさえ言ってもいいこの闘将が阪神に来るまでの長い間はだったというのだ。
「暗黒時代だったのよ」
「一回優勝争いしただろ」
美優は儚い年のことを話した。
「確か」
「九十二年ね」
「そうそう、新庄とか亀山が出たな」
「けれどすぐにね」
まさにすぐだった、阪神は。
「暗黒時代に戻ったのよ」
「何か全然打てなかったのよね」
彩夏も暗黒時代の阪神について話す。
「ピッチャーはいたのに」
「阪神だから」
里香は打てなかった理由を阪神そのものに求めていた。
「だからね」
「阪神だからなのね」
「そう、打てなかったの」
「ピッチャーはよくても」
「阪神は実はピッチャーのチームなのよ」
ダイナマイト打線という看板はある、だがそれでもなのだ。
「打たないチームなのよ」
「それで暗黒時代だったのね」
「逆に八十五年は今一つだったのよ」
この時の阪神投手陣は弱体だった、実は阪神の歴史の中では珍しい打高投低の時代だったのである。
「それでも優勝出来たのよ」
「ひょっとしてだけれど」
琴乃はここまで聞いてこう述べた。
「阪神って打つと強いの?ピッチャーよりも」
「点を取らないとね」
どうかと言う里香だった。
「勝てないからね」
「そうよね、ピッチャーが幾ら抑えても」
「点を取らないと」
「幾ら一点や二点に抑えても」
そうしてもなのだ。
「それ以上に取らないと」
「勝てないわよね」
「そうなるわ」
「そうよね、阪神が勝てない理由は」
打線が打たないからだ、それで多少投手陣が悪くとも打てばというのだ。
「打ってくれたら勝てるから」
「そうなるわね」
「だから今年は強いのね」
打つからだ。
「阪神は」
「打たないチームは負けるっていうけれどな」
美優もここで言う。
「阪神はまさにそれなんだな」
「そうなるわね」
「来年も打って欲しいな」
美優はあらためてこうも言った。
「いや、本当にな」
「私も
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