第五十五話 演奏その七
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「だからね」
「今みたいにすることもですか」
「皆が望む歌を歌うこともですか」
「大事なんですか」
「ええ、とはいってもね」
部長はにこにことしながらも確かな顔で五人に話す。
「自分達の考えでいくのもいいのよ」
「そうなんですか」
「どっちもいいんですか」
「変えることもそのままいくことも」
「どっちでもいいんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、いいのよ」
部長はどちらも正しいと言うのだった。
「どっちが正しくてどっちが間違ってるとは言えないわよ」
「じゃあ若しもですけれど」
里香が部長に怪訝な顔で話す部長に問う。
「私達が十二球団そのままでいってたら」
「それもいいと言ってるわ」
そちらもだというのだ。
「絶対にね」
「そうなんですか」
「さっきも言ったけれどどっちが正しいとかはないのよ」
間違ってるということもだというのだ。
「問題は演奏するということでね」
「正解とかじゃなくて」
「演奏ですか」
「それ自体が大事ですか」
「そうなんですね」
「そうよ、己を貫いてもいいしね」
また言う部長だった。
「ニーズに応えてもいいのよ」
「人気が出る為にはニーズに応えるんですね」
「そうよ」
その通りだとだ、部長は琴乃に答えた。
「そっちがいい場合があるのよ」
「それで音楽性を求めたいと」
「貫くのよ」
己が決めたことをだというのだ。
「どっちを選ぶかよ」
「そう言われると難しいですね」
「そうね、正解がないからね」
「しかも自分達の考えても人気が出たりするんですよね」
無論その逆もある、ニーズに応えても人気がない場合もだ。
「そういうことも」
「あるわよ」
「そういうことって実力も関係あります?」
「あるわよ」
部長は琴乃の今の問いにすぐにこう返した。
「それもね」
「そうなんですか」
「天才ならどれだけ自分を貫いても」
例えそうしてもだというのだ。
「人気が出る場合が多いわ」
「多い、ですか」
「それでも確実じゃないのよね、例えばね」
ここで部長が出す例えはというと。
「音楽じゃないけれどね、ゴッホね」
「画家のですか」
「そう、ゴッホは私はよくわからないけれど」
絵の具をふんだんに使った派手な画風は部長の感性に合わないらしい、それでプラネッツの五人にこう話したのだ。
「凄い才能あったでしょ」
「そうみたいですね」
「けれどね」
「生きてる間は殆ど売れなかったですよね」
「ええ、そうしやこともあるから」
「天才でもですか」
「認められないこともあるのよ」
ゴッホの様にだというのだ。
「そうなるのよ」
「そうなんですね」
「まあゴッホは極端な例だけれどね」
何しろ千作程描いたが生きている
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