第八十七話 スフィンクスの問い掛けその十二
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「いいわね」
「わかりました、ただ」
「貴方に随分と好意的だというのね」
「はい、どうしてですか?それは」
「見ていて応援したくなったのよ」
だからだというのだ。
「今もここに来たのよ」
「そうだったのですか」
「私は神話の頃からこの戦いを見てきたわ」
スフィンクスは今度は自分のことを話した。
「貴方達の戦いをね」
「神話の頃から続く僕達の戦いを」
「その中でも貴方はね」
上城、彼はだというのだ。
「特に綺麗な心を持っているのだから」
「そうですか?僕が」
「勿論完全に綺麗ではないわ」
スフィンクスは上城を完全に純粋な人間かというとそのことは否定した。
「完全に純粋な人間というのはいないわ」
「そうした人はですね」
「神々にしてもそうだから」
ギリシアの神々、彼等のことも話に出す。
「完全に純粋ではないわ」
「確かに凄いですからね」
樹里もここで言う。
「あの神様達は」
「知っているわね、神話で」
「はい、私も」
「ギリシアの神々の性格はかなりのものよ」
「人間的ですね」
「純粋ではないわ」
そうした意味で人間的ではないというのだ。
「いいこともすれば悪いこともするわ」
「そうですね」
「それはどの神様もよ」
ギリシアの神々はだというのだ。
「他の国の神々もそうだけれど」
「ギリシアの神様達は特にですね」
ここで上城がスフィンクスに問うた。
「神話にもある通り」
「人間的よ、人間も神も完全に純粋ではないわ」
「だから僕もですね」
「完全に純粋ではないわ」
「けれどですか」
「かなり純粋よ」
その純粋さが凄いというのだ、完全でないにしても。
「いい意味でね」
「いい意味なんですか」
「純粋だからといっていいとは限らないわ」
このこともこの世の難しいところだ、純粋な人間が常にいいとは限らないのだ。それが悪いことにもなるのだ。
「純粋であるだけでは危うい場合もあるわ」
「それはどうしてですか?」
「純粋であるだけで悪を悪と見抜けない、知識がないのなら」
それならというのだ。
「悪人に騙されるわ」
「僕もそうなるんですか」
「なるわ」
その通りだというのだ、スフィンクスはここでは冷徹な口調で言い切った。
「貴方がそうした人間ならね」
「純粋なだけではですか」
「純粋なだけではね」
それだけではというのだ。
「騙されて終わりよ」
「そこに人を見抜く目と知識が必要なんですか」
「世の中を知ることよ」
「世の中の知識が必要ですか」
「そうよ、貴方にはそれもあるから」
だからいい意味で純粋だというのだ。
「いいことなのよ」
「そうなのですね」
「だから期待しているわ」
スフィンクスはその上城を見据えたま
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