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インフィニット・ストラトスの世界にうまれて
眼鏡っ娘は何座の女?
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理やり胃に詰め込み、薬を水で流し込む。
しばらくすると、解熱剤が効いてきたのか多少は楽になった気はするが、それでも苦しさを感じる。
俺は自分の部屋の天井を眺めながら、こう思った。
俺の人生はここで終わるかもしれないと。
こんなことを考えたのはいつ以来だろう……二、三年前にあったかもしれんな。
食事と薬を持ってきた山田先生は、後で様子を見に来るという言葉を残してすでに俺の部屋を去っていた。
昼休みになったのか山田先生は再び俺の部屋にやってきて色々と世話を焼いてくれる。
何ともありがたいことだな。
病気をすると気弱になるからか、そんな山田先生の姿を眺めていると変な気持ちが湧いてくる。

「そんなに甲斐甲斐しく世話をされると惚れてしまいそうです」

俺の言葉を聞いた山田先生は意外そうな表情をした後、こう返してきた。

「転入してきた日にベインズくんは先生に、真耶、愛してる。結婚してくれって言ってましたよね?」

んな事は言ってない。
好きとは言ったがな。
もしかして山田先生の頭の中では、俺の言った『好き』という言葉に利息がついて『愛してる』に変わったのか? しかもオマケに『結婚してくれ』までついている。

俺は確かに山田先生は好きだが、半分は本当で残りの半分は嘘である。
それはなぜかというと、俺の好きだったのはインフィニット・ストラトスという物語に出てくるキャラクターの山田先生であって、この場にいる山田先生ではないからだ。
確かに、ここにいる山田先生の声も仕草も、そしてたぶん人物背景も設定にあるそれと同じなのだろう。
だからといって、同一ではない。
似て非なるものだろう。
いくら似ているからといって物語に出てくるキャラクターをこの場にいる山田先生に重ね合わせるのは、礼儀を欠く行為に思える。
なら俺の山田先生に対する感情が今どの辺にあるのか考えていたはずが、いつの間にかまどろんでいた様で意識はそこで閉じた。

ここはどこだ? 部屋の様子からどこかのホテルだろうことはわかる。
部屋から見える街の夜景を楽しむためという理由で照明は点けていないらしく、ベッドサイドにあるランプシェードを通したオレンジ色の光がぼんやりと部屋を照らしていた。
この部屋には二人の人間がいて、一人は俺で、もう一人は山田先生だった。
俺は窓際に立つ山田先生を後ろから包み込む様に抱きしめ、窓から見える風景を眺めていた。

「山田先生。夜景は霧で霞んで見えますが、これはこれで幻想的ですね」

「もう、アーサーくん。いつになったら真耶って呼んでくれるんですか?」

顔をややこちらに向けた山田先生の表情は少し拗ねているように見える。

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