第三章
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はニンマリしていた。それだけでもう信じられなかった。
しかしそれだけではなかった。何と一塁ランナーのブライアントが三塁ベースを回ったのだ。
「えっ!」
これには皆驚いた。ブライアントはそれ程脚が速くはない。その彼がまさかこのような行動に出るとは。
「ここまでキたらイチかバチかだ!」
彼には思いきりのよさがあった。普段は物静かだか野球に関しては別だった。だからこそ豪快に振り回した。
「させるかい!」
ダイエーのセンター大野久はボールを捕った。そしてそのままホームへ返球する。
だがそれが逸れた。そしてよりによってブライアントに当たってしまった。
「クッ・・・・・・」
ボールはそのままファウルグラウンドを転がった。空しく転がるそのボールが全てを物語っていた。
「ウオオオオーーーーーーッ!」
ブライアントは雄叫びをあげながらホームを踏んだ。安達がそれを迎える。
「やった、やったぞ!」
他のナインも一斉に出て来た。そしてブライアントを取り囲む。
ブライアントは彼等にもみくちゃにされる。そして殊勲打を打った山下も。思いもよらぬ大逆転劇に近鉄ナインは興奮の坩堝と化した。
それは観客席も同じだった。皆奇跡の逆転劇に狂喜していた。
「やっぱりこれがバファローズの野球や!」
誰かが言った。そう、こうした思いもよらぬ逆転こそがバファローズであった。
運命の女神というのは非常に気紛れである。そして移り気である。だがバファローズは不思議とこの女神の恩恵を受けることが多い。
その中の一つがこの試合であった。そして女神は今もこのチームに対して不思議な微笑を向けているのである。
最後の大逆転 完
2004・7・3
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