番外中編
蒼空のキセキ4
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りを叩き込む。
レミのブーメラン。
ファーの槍。
二つが続けて炸裂して、相手のHPがガクンガクンと削れていく。
残りは、あとわずか。
「いけるっ!!!」
反射的に叫んで走りだし、右手でストレージを操る。シドが褒めてくれたタイピングの速さで紡ぎだされた装備変更が、私の左手の武器を投擲槍から片手剣へと瞬時に変更する。突進の勢いのままの跳躍で、バランスを崩して空中で立ち往生する巨鷲の背へと飛び乗って。
「もらったあっ!!!」
深々とその首筋に剣を突き立てる。
ゼロになるボスのHP。
湧き上がるみんなの喝采。
私のガッツポーズ。
そして、満面の笑みでポリゴン片へと変わる前のその背を蹴って、雲へと跳び―――
「……え……?」
移れなかった。
◆
それはまるで、わたしという機械人形の電源を切ったみたいだった。
唐突に私の足から力が抜けて、跳ぼうと曲げた膝ががくりと崩れ落ちる。
世界がぐわんと回って、意識が遠のいていく。
手足が、……ううん、私そのものが、世界から切り離されていく感覚。
―――下。雲の、穴。
ぼんやりとかすんでいく頭に、ちらとよぎる。
真下は確か、さっきあけられたばかりの足場の穴だった。
―――落ちちゃう……。
ふわりと体が浮かぶ。
そして、この世界の法則……重力に引っ張られて、下降をはじめて。
意識が、ぶわんと消えていく。
…………らぁぁぁああああ!!!
その直前、誰かの声と腕が、私を包んでくれたような気がした。
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