番外中編
蒼空のキセキ4
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ろん、それを模した足場に過ぎず、そして私のイメージとは違ってあんまりフカフカでこそないが、紛れもない「雲」。そしてそれはこの巨鷲にとっては、『破壊可能オブジェクト』なのだ。
巨鷲の襲撃は、下から。
私がさっきまで立っていた足場を貫くような、強力な突進。
「っ、とぉっ! なかなかやるねっ!」
ゾクゾクする。
シドに言われて後ろに跳ばずさっきまでの場所にとどまっていたら、私はきっとアレをまともに喰らっていた。それは私のHPを吹き飛ばすほどではないだろうけど、もしアレが私の体を「足場の外」へと弾き飛ばせば。
それは、塔の下……あるいは方角によってはこの鋼鉄の城の下……までまっさかさま。
それの意味するところは、単純明快「げーむおーばー」。
でも。
「あまーいっ! シドの《索敵》にかかればねっ!」
「それをなぜおまえが自慢するんだよ!」
高らかに笑う。
この攻撃は、《索敵》であらかじめ攻撃範囲を察知できる。シドの《索敵》は、……詳しく聞いたことはないけど……たぶんこのゲーム内でも指折りに高い。最前線でもない中層フロアのクエストボス程度では、到底隠れきれるものじゃない。
渾身の一撃を躱された巨鷲が、いったん空中で止まって憎々しげにこちらを見やる。
「さぁっ、グランドフィナーレですよっ!!!」
その顔に対して誇らしげに叫んで、《投擲槍》を一発叩き込む。
同時にレミのブーメランも飛来して、巨鷲のHPを削り取っていく。
そして。
「おおおおっ!」
きょーれつな気合の声。
彼には珍しい、力のこもった叫び。
《体術》スキル、『ネプチューンストーム』。大きく体を躍らせての、空中での高速の四連回し蹴り。シドの特異な手数とスピード重視の小技とは真逆の、連撃と重攻撃の高位ソードスキルでの一撃が、彼の非力なアバターからはにわかに信じがたいほどのダメージを叩きだす。
嘶く大鷲。
再びの羽ばたき、飛行。
だが。
「次はファーっ! 左に跳べっ!」
「わ、分かったッス!」
何度やっても、シドの《索敵》を破れははしまい。あわてて跳んだファーはしかし器用に槍を操り、足元から突き出たその頭に強烈な一撃をお見舞いしていた。
迫るスリル。
雲の上でのファンタジー。
心躍るクライマックス。
胸の高鳴りのままに、私は再び槍を構えた。
◆
四度目の、足場崩し。
本来の人数……六人のワンパーティーでの戦いであればそろそろポジション取りに困るあたりだが、少数精鋭の我らが《冒険合奏団》ではまだまだ余裕がある。今回の足場崩しの標的となったシドは悠々とその突進をかわして、再びの飛び蹴
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