番外中編
蒼空のキセキ4
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ねえねえっ、見たっ!? カンペキだったよっ、今のっ!」
「ああ見てるとも、その前にかすりもせずに空の彼方に放りだした一発もなっ!」
「うっ、そっ、それは言わないでっー!」
自慢するソラに、シドがツッコミを入れる。
だがそれは、照れ隠しだ。
「ほらっ、さっさと次を投げろ! レミ一人じゃたりねーぞ!」
「うーっ、人使いが荒いぞーっ、もっと褒めてよーっ。褒めてメンバーの能力を引き出す戦い方をシドはもっと学ぶべきだぞーっ」
「うっせ、次右からっ!」
本人が「褒めて」と言うのもなんだろうが、それは本当にすごいことなのだ。
《投擲》というものは、決して容易い攻撃手段ではない。ただ振り回すだけでも一応は武器としての役割を果たしうる近接武器と違い、正確な狙いと相手の動きを先読みする思考、そして的を狙う命中精度があって初めて可能な技術なのだ。
そのため、《投擲》系のソードスキルにはそれらのアシスト機能がしっかりとそなわっている。でなければ、レミの武器たるブーメランを空飛ぶ敵に当てるなど到底不可能。続けざまに放たれる刃は高レベルのソードスキルで威力と精度を付加され、大鷲の体を次々と切りつける。
だが、ソラは。彼女の投擲槍は、そうではない。
「うっしもう一発っ、《シングルシュート》っ!」
それは、投擲のソードスキルに置いて、基礎の基礎。とるスキルによっては一層からでも使えるようなそのスキルは、この四十九層でそれもクエストボスを相手に使うようなスキルとは到底言い難い、そんな初歩スキルなのだ。
なのに。
「よーし命中っ!!! 今度はクリティカルっ!」
それが、当たる。
巨大とはいえ、それでもすさまじい移動速度を誇るうえに狙いのつけづらい飛行系の敵に対して、それはレミの放つブーメランと同等の精度で敵を貫いていく。胸の中央に突き刺さった槍は先の一撃を超えるダメージを与えたようで、巨鷲が再度の咆哮。
なぜ当たるか。答えは簡単だ。彼女の狙いが、ソードスキルのアシストを必要としないほどに精確だからだ。なぜ威力が高いか。彼女の一撃は、ソードスキルに頼らずともクリティカルポイントを的確に貫くからだ。この世界の存在意義たる《ソードスキル》を、彼女は自前の戦闘センスで補完している。
(ったく、信じらんねえぜ……)
(私のソードスキルより……威力出てる……)
レミ、シドの二人が舌を巻く。ソラ本人が気づいているかどうかは定かではないが、少なくともこの二人は気づいていた。その戦闘センスがいかに規格外のものであるのか。まあ、それが分かっているのなら褒めてもいいのだろうが、そのあたりは二人の性格だろう。
と。
「っ、くるッス!」
「おっけーっ、ファ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ