第一章
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今更打って何になるんや」
観客達はそれを醒めた目で見ていた。だが渡辺はこれ調子を崩した。
九回である。体力的にもそろそろ限界だ。特にコントロールが乱れてきていた。
「しかしこの回で終わりだ」
渡辺は余計気を立ててしまった。それがまたコントロールを悪くさせた。
村上嵩幸にも四球を出す。それを見て根本は首を傾げた。
「どう思う?」
そして傍らにいたコーチに声をかけた。
「もう九回ですけれどね」
彼も少し不安を覚えていた。
「けれどいけるのではないでしょうか」
「そうか!?」
根本はそれを聞いて眉を顰めた。
「ううむ」
根本は同じ考えではなかった。そして彼は自分の考えに従った。
「ここまでやってくれれば充分だ」
そう言うとマウンドに向かった。そして渡辺に対して言った。
「今日はご苦労さん」
「え、はい」
彼もこのまま完投させてもらえるとばかり思っていた。まさかこんな言葉を聞くとは思わなかった。
根本は主審に対して言った。ピッチャー交代、と。
「ピッチャー、池田」
それを聞いた当の池田親興は思わず耳を疑った。
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