歌い手、癒す
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一筋の涙を流し、僕のほうに倒れてきた。
「おっと・・・気絶してるだけ、か」
何かあったわけじゃないとわかってホッとし、そのままどうしていいのかも分からず、先ほどまで震えていたのを思い出して抱きしめる。
「ご静聴、ありがとうございました」
♪♪♪
「・・・お二人とも、何をしていたんですか?」
あの後、どうにか意識の無いヴァイオリニストさんを背負ってラッテンさんのところに向かったら、ボロボロになった二人が、周りがボロボロな空間でにらみ合っていた。
風間さんも結構きわどい格好になってるけど、ラッテンさんはそのうえを行っている。
僕もそうだけど、音楽シリーズの持ち主には本番衣装がある人が多いらしく、僕の場合は箱庭に来る直前の本番でも着ていたもの、ラッテンさんは始めて会ったときにきていた露出の高い服。
今回、僕たちは二人とも本番衣装を着ていたため、ラッテンさんは格好が大変なことになっている。少しは隠すそぶりを見せてください、お願いですから・・・
余談だけど、衣装には予備もあるため、今後困ることはないだろう。
よく見ると、力尽きた魔物も結構いたので、レクイエムを歌って成仏させる。
「この忍者、予想以上に強いんですよ・・・音楽シリーズも効きませんし、どうなってるのよ・・・」
「音楽シリーズが効かないって・・・まさか、風間さんも音楽シリーズ持ちだったりします?」
「自分がっスか?いえいえ、自分はそんなもの持ってないっスよ」
「じゃあ、どうして・・・」
「その前に、こっちから質問いいっスか?」
風間さんに言われたので、どうぞ、と促す。
「では、ユイさんは無事なんっスか?」
「はい、無事ですよ。気絶はしていますが、何か憑いていた物が抜けたみたいでしたし、素人目ではありますけど、脈や呼吸も大丈夫だと思います」
「そうっスか・・・それで、ユイさんをどうするつもりっスか?」
「どうする・・・とは?」
風間さんの様子からすると、向こうにとってはかなり重要なことらしい。
本当に警戒しきった目をしてるし・・・
「ユイさんは、ある音楽シリーズのギフト保持者に隷属を迫られ、それを断った結果、ギフトを使われてあんな状態になってたっス。奏さんもそのつもりなら・・・容赦はしないっスよ?」
そう言って小刀を構える風間さん。
そんなことがあったんだ・・・確かに、音楽シリーズの持ち主なら音楽シリーズに対してギフトを使える可能性も高い。
むしろ、それ以外の人間がそんな事を出来る可能性は、ないに等しい。
「で、どうなんスか?」
「特にどうとは決めていませんが・・・この人が合意してくれたら僕たちのコミュニティに来てもらいたいな、とは思っています」
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