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豹頭王異伝
邂逅
新たな疑問
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師4名、下級魔道師20名は滑る様に移動し周囲に結界を展開する。

「ベック公ファーンに、私と同じ治療を施す様に」
( 次席管理者《セカンド・マスター》の指示、命令入力は権限外の事項に相当します。
 公開適用除外指定技術《シークレット・テクノロジー》に該当の為、施術は認められません。
 パロ聖王国の代理者に認可の実行権限、公開可能な範囲の超過に該当し要請を却下。
 未開惑星調整事務局の許可、或いは同等の権限を有する担当者の承認が必須です )
 古代機械は運動神経も再生させる秘策、松果腺刺激方式の手術を完璧に拒絶。
 アルド・ナリスの顔色が急激に蒼褪め、音を立てて一瞬で血の気が引いた。

 パロ聖王家が誇る最大の資質、本人は弱点と勘違いしているが人々の心を魅了する真の美点。
 普段は秘め隠し誰にも見せぬ本当の自分、ヴァレリウスの魂を呪縛した無垢の魂が露呈。
 傲岸な仮面が消し飛び藁をも掴む必死の形相、頼り無い幼子の素顔を曝すが自覚の余裕は皆無。
 動転する主に劣らず魂の従者ヴァレリウス、古代機械に関する第2の権威ヨナも同様であるが。
 アルド・ナリスは辛うじて自制心を掻き集め、多少の震えを隠せぬ声で第二の矢を放った。
「私には既に該当する治療が行われた筈、当惑星文明には公開済みではないのか?」

( 最高管理者の指示に基き、已むを得ぬ特別の処置と認定された為です。
 繰り返しますが脳細胞の刺激、再生手術の申請は補欠管理者の権限を越えています )
 ナリスは絶対的な自信が崩壊、蒼白な表情を繕う余裕も無い。
 比較的冷静な共同研究者ヨナが、ヴァレリウスを通じ助け舟を出した。
「ファイナル・マスター、ランドックのグインと念話コンタクトを希望する」

( 超上級ランクへの念話コンタクト申請は、下級ランクに認定された権限を逸脱しています。
 特S級エマージェンシー発現、スペシャル・ケース発動には該当せず要求は却下されます )
 起死回生の奇跡を求め、一念を籠め放った第三の矢も無残に打ち砕かれた。
 ナリスは呼吸困難な風情で喉元へ手を当てヴァレリウス、ヨナが駆け寄る。
 困惑し視線を交錯させる腹心2人を見て、強引に態勢を立て直す闇と炎の王子。
 懸命に気力を奮い立たせ、反撃を試みる。

「どうやら表現を間違えた様だ、発言を訂正する。
 ファイナル・マスターに可否の判断を仰ぎたい、私が手術の許可を求めていると伝えて欲しい」
( 了解しました、セカンド・マスターの要請を受け容れます。
 ファイナル・マスターの意向を確認します、許可が下りるまでの間のみ在室を認めます )
 ナリスは想定外の拒絶を一時的に回避、時間を稼ぐ事に成功し大きく息を吐いた。
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