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豹頭王異伝
邂逅
新たな疑問
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 ヴァレリウスは雄弁な視線に沈黙で応え、ナリスの護衛3班に同行を指示。
 ゴーラ軍の警戒は見習い魔道師、下級魔道師に委ね閉じた空間の術を起動。
 ベック公ファーンを護送後サラミスに残留、結界を張る遊撃班6名と合流。
 魔の胞子に冒された犠牲者の精神測定を試み、慎重に掌を翳し反応を見る。
 パロ最強の魔道師は灰色の眼を曇らせ、深い溜息を吐いた。

「ここまで進行した状態は、初めて見ます。
 あまりにも異質で解読不能ですが、強力な思念波を発信中。
 黒魔道の術師に距離と方角を報せる標識灯、遠隔攻撃を誘導する格好の標的となります」
「ファーンを見棄てる訳には行かないよ、一刻も早く私と同じ治療を施さないと」
 ヴァレリウスは無言の儘で接触心話を選択、ナリスと掌を合わせ従兄弟の思念波を中継。

 ナリスが常に着用する精神遮蔽の障壁、内心を窺わせぬ鉄壁の仮面も外れ表情が歪んだ。
「魔の胞子は脳細胞を喰い荒らす異次元の微生物と聞くが、ここまで酷いとは!
 精神活動が極端に低下していると覚悟していたが、正常な意識が全く感知出来ない。
 鉄仮面の男と似た様な状況なら何とかなる、と思っていたが予想を遙かに超えている。
 パロ魔道師ギルドの総力を挙げても意識の回復、治療の見込みは立たないのだね?」
 肉体を接触させる接触心話、言葉と異なり純粋な思考を偽る事は事実上不可能。
 魔道師の言葉に出来ぬ苦渋を読み取り、アルシス王家の正統後継者は次なる手段を選択。

 古代機械の認める《マスター》の権限を駆使、不可視の障壁に思念波を投射。
 《パスワード》を念じた直後、3千年を経て錆一つ無い光の船が現出。
 継ぎ目は皆無と見えた滑らかな水晶の壁、舷側の一部が扉と化し無音で左右に開いた。
 異文明の秘蹟は主《マスター》に応え光り輝き、銀色の光が溢れる内部を公開。
 勝手を知る者の強み、アルド・ナリスは光り輝く通路の奥へ悠然と歩を進める。

 何度も足を踏み入れた研究者、ヨナ・ハンゼ博士が続き立ち竦む魔道師達を先導。
 可動式の寝台に横たわる意識不明の重態者、ベック公を中心に従者達は滑る様に移動。
 鋼鉄を連想させる硬直した感触の異質な念波、機械化された思考記号が精神の視野に点滅。
 侵入者を威嚇し警告する思考元素、誤解の余地を持たぬ警戒信号の暗示波が一行を制止。

(一時に入室の可能な随行者の数は最大、非A級の場合3人までに制限されています。
 セカンド・マスターを含め人数制限を超過、該当する人員は直ちに退出してください )
「古代機械には何度も出入りしているが、こんな反応は初めてだね。
 ヨナとヴァレリウスを除き、他の者は一旦退出してくれ」
 灰色の瞳は安堵、不満を秘めた感情の渦を映すが異論を唱えず黙礼。
 上級魔道
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