第五話、地球へ
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らかといえば無愛想なラウルの、年相応の満面の笑み。それは、私が初めて見た最上の笑顔だった。
「フェイトー、起きろー、朝だぞー」
気持ち良さそうに俺の布団で眠るフェイトの頬をペチペチと叩く。あらかた朝食の準備ができた俺は、プレシアに頼まれてフェイトを起こしにきていた。いつもなら、フェイトがプレシアの次に早起きして俺とアルフを起こしてくれるのだが、昨日遅くまで看病してくれていたのだろう。フェイトに起きる様子はない。ちなみに、いつもならプレシアよりも早起きするリニスはまだ寝ている。プレシア曰く、明け方くらいまで調べ物をしていたようだ。せめてもう少し寝かせてあげよう、それが俺らの判断だった。
「フェイトー起きろー、はやく起きないとお前の好きな卵焼き食べちゃうぞー」
体を揺すりながら声をかける。ちなみに、甘い卵焼きはフェイトの大好物だ。
「うにゃあぁ…卵焼きらめぇ……」
「…こいつ、意外と食い意地張ってるな」
まさか卵焼きを人質にとっただけで起きるとは思わなかった。
「食われたくなかったら早く起きろよー」
「うにゅぅ…らうるー、起こしてぇ…」
起こしてって、子供かお前は。とはいえここは素直に起こしたほうがよさそうだ。このまま寝っ転がしてたらまた寝るだろう。
「まったく、ホラ掴まれ」
「ん!」
寝ぼけ眼のままに差し出された俺の腕を掴むフェイト。しっかり握ったのを確認してから、俺は両足を踏ん張った。
「ほい!」
「ひゃあ!?」
ぐいっと思い切り引っ張るとその勢いのままにフェイトの体は起き上がりそのまま俺の胸にすっぽりと収まった。
「おはようフェイト」
「うん、おはよラウル」
さて、リビングに向かうか。
「おはようお母さん、アルフ」
「…アルフ食い出すの早いな」
フェイトを起こしてリビングに向かうと、既に二人は席についていた。家族一大食いのアルフは我慢できなかったのか、早速白米を掻き込んでいる。
余談ではあるが、この白米はフェルナンデス家で好んで食べられていたもので、どうやら居合切りと同じ地球の食物のようだった。試しに半年前に取り寄せてみたのだが、予想外に好評で今ではすっかり朝食の定番になっている。
「いただきます」
そして、各々自分たちの席についた俺たちは一斉に和やかに朝食をとりはじめた。
「ああ、そういえばフェイト、ラウル、アルフ、あなた達三人には明日から地球に行ってもらうわ」
「え?地球?」
「いいぞ」
「アンタ、随分アッサリしてるね」
食事中に
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