初話
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急に呼び出しちゃって!いや、実は頼みごとがあるんだよ!」
「……まったく、なに?一応は、聞いてあげる。」
見破られてる。まぁ、これじゃあ、しょうがないか。
「大事な事でしょう?はっきりと、伝えてよ?」
まったく、告白かも?とか、少しくらい思ってくれてもいいのに。
……でも、ありがたい
「……うん、そうだね。言うよ。」
「陽菜の事……しばらくの間、頼みたいんだ。」
「……」
沈黙。一瞬の、沈黙。
「あの子にはちゃんと言ったの?」
「ああ、言った。泣かせちゃったよ。」
「そう。」
「……。」
「……あんたがこういうとき、聴いても何も答えないのはわかってる。
だから、何も聴かない。でも、その代り、何もしない。」
「……うん。」
「いつ、戻ってくるの?これも一応、聞いといてあげる。」
「……わからない。けど、皆が生きているうちには、必ず、帰ってくるよ。」
「……そっか。なら、いいや。陽菜ちゃんの事は、私たちに任せない。私の親にも、うまく言っておいてあげる。だから、必ず、無事で、帰ってきなさいよ。」
「……うん、約束するよ。約束だ。」
「……じゃあ、いってらっしゃい。」
そうして、俺たちは、この世界で、別れた。
―――数時間後―――
太陽が沈む。こんなにきれいな夕焼けも、しばらくは見れないのかな。
結構、好きだったんだけど。
そんなことを思っていると、
「……」
「その人」が、現れた。
「……今、この場にいるという事は、決まったのですか?」
「……うん。」
「では、あなたの答えを。」
「俺は、行く。……もちろん、自分で言っていることはわかってる。覚悟だってしているつもりだ。
時間、まだ少しはあるでしょう?質問くらい、いいだろう?」
「なんでしょう?」
「なんで、俺なの?」
「私が、そう、決めたからです。」
「やっぱり、俺は子どもだから、わからないや。もう1個、質問。」
「どうぞ。」
「俺、まだあなたの名前を知らないな。なんていうの?」
「……」
「……?」
「……私の、名前は、エイリエス、と、申します。」
「エイリエス……ね、わかった。もう、聞くこともないや。」
「そうですか。……では。」
「うん……っと、そういえば、俺はどうすれば?」
「何もしなくて大丈夫です。私に任せて頂ければ。」
「わかった。」
「では、いきます。」
エイリエスと名乗ったその人は、何かを呟き―――聞こえなかったわけじゃない、聞こえても、俺には聞き取れなかった―――俺の目の前の空間を、握りつぶした。
「―――っ」
歪む、視界が、感覚が、世界が、なにもかも、歪んでいく。
いや、変化しているのは唯一つ。
「あっ、うっ」
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