初話
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「簡単に言うと、観察を、させて頂きました。勝手だと、お思いになるのも、当然の事でしょう。申し訳ありませんでした。」
深く頭を下げられる。今の俺のあたまでは、返す言葉を選び出せない。
その行動に気が緩みかけるが、背負っているものを思い出す。
「……なぜ?」
観察、というからには、なにか、目的、俺に何かをやらせる?だとしても、何故俺だ?
いや、この人のこと自体、見かけたこともない、仮に、そう、仮に、誰かに依頼をされて、この場にいるのなら、手当たり次第にという事も、いや、だめだ、楽観的すぎる!!
「……言葉が足りませんでした。あなた、というよりも、人そのものを、です。」
「……」
「あなたに頼みたいことはただひとつ」
もう、考える、いや、俺が考えつくようなことではない。
そう思い、相手の言葉を待つことにした。
「とある世界に、行ってほしいのです。」
……ここまでの相手の口調から、頼むといっても、決して下手に出ているわけではない。
「一度向こうにいけば、しばらくの間は戻ってこれはしないでしょう。これは、1年だとか、そういった単位ではありません。戻ってこられない可能性も十分にあります。
……友人、家族への事もあるでしょう。行くかどうかをお決めになりましたら、再び、この場へ。」
「……まって、全然理解が」
「理解できないのは承知しております。ですが、こちらもあまり余裕がないのです。
あなた「達」の「家族」のことも、その世界が関係しています。」
「……っ!お前は」
「誰かがここの近くを通るようです。他に質問が無ければ、これで。」
「……じゃあ、ひとつだけ。僕に、拒否権は?」
「貴方の意のままに」
「……選ぶのは自由だと、言いたいの?」
「時間がありません、どうか、決断は、覚悟をもって。」
そういって、「その人」は消えた。
ちょうどそこに、見回りでやってきた警察の人が来た。
見つかると面倒だ。少し遠回りをして、見つからないように帰ろう。
―――24時前 自室―――
家に帰り、思っていたより時間が経っていることに驚く。
それだけ緊張していたという事か、情けない。
(あの人が言っていたあの言葉)
―――あなた「達」の「家族」のことも、その世界が―――、その言葉が頭の中で何度も響く。だけど、
(なんて言えばいいんだよ……こんなこと、)
結局、何も悟られないように、なんて、無理になってしまった。
(……。)
自分の心は、ただひとつの事を叫んでいた。
―――翌日、学校―――
「……ねぇ、美夏?放課後、学校終わった後、少し、いいかな。」
「……?わかった、どこで?」
「あの場所で」
―――夕方 場所:不明―――
「ごめん、
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