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八条学園怪異譚
第五十六話 鼠の穴その四
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「そんなのだよ」
「学校だけれど試験はないし」
「気楽だっていうのね」
「お金の心配もないし」
 こちらは自然に出て来る、
「博士も賢者の石を持ってるしね」
「確か錬金術の極意よね」
「そうらしいわね」
 愛実と聖花は賢者の石と聞いてこう話した。
「博士そんなのも造り上げられたのね」
「つくづく凄い人ね」
「博士は学問については万能だからね」
 公ではない学問もだというのだ。
「だから錬金術や魔術にも通じてるんだよ」
「それで錬金術もなの」
「そうなのね」
「あと陰陽道とか仙術にもね」
 そちらにも通じているというのだ。
「だからそっちで長寿も身に着けてるんじゃないかな」
「それであれだけご高齢なのね」
「百五十以上とかって聞いてるけれど」
「二百歳じゃないの?」
 鉄鼠は新説を出してきた、それはとんでもない新説だった。
「あの人」
「いや、二百歳ってないでしょ」
「人間の年齢じゃないわよ」
「百歳でも滅多にないのに」
「二百歳って何よ」
「だってあの人天保時代のことにも詳しいから」 
 その時代のこともだというのだ。
「江戸時代後期だけれどね」
「化政文化よね、確か」
「その頃っていうと」
 二人は天保時代と聞き元禄文化と並び称される江戸時代に花開いた庶民文化の名前を出した、尚文化文政の時代だから化政文化なのだ。
「葛飾北斎とか」
「あと滝沢馬琴」
「そうよ、その頃のこともね」
 博士は詳しいというのだ。
「それこそ裏の裏、その当時に生きていた人しか知らないこともね」
「熟知しておられるのね」
「博士は」
「そう、だからね」 
 博士は二百歳ではないかというのだ。
「もっといってるかも知れないけれど」
「やっぱり博士も妖怪じゃないかしら」
「そうかも知れないわね」
 二人は余計にこのことを疑いだした。
「それか仙人か」
「そういった人よね」
「まあ博士のことも気になるけれど」
 鉄鼠は普通の姿のまま話していく、今はただのケースの中の黒鼠にしか見えない。
「いいかな」
「泉のことよね」
「そっちのことね」
「そう、じゃあ今夜ね」
 早速だというのだ。
「十二時にね。脚立も用意しておくから」
「用意がいいわね、早速なの」
「それも用意してくれるの」
「そうだよ、後はね」
「後は?」
「後はっていうと?」
「お豆におからにお酒も用意しておくからね」
 鉄鼠は二人にこうしたものも用意すると話した。
「そういうのもね」
「つまり飲むのね」
「そうするのね」
「当たり前じゃない、夜は運動会の後はね」 
 またこんなことを言う鉄鼠だった、どうやらその漫画が好きらしい。
「大宴会だよ」
「つまり飲むのね」
「そうするのね」
「そう
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