内なる覇を雛は見つめる
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袁紹軍が幽州への侵略を開始したとの情報が入り、劉備軍は直ぐさま行動を開始した。
徐晃隊と張飛隊がまず真っ先に国境付近の城に移動。桃香と愛紗、朱里は本城にて徴兵やらの軍務と政務の日々を送っている。
雛里はというと徐州南側の政務の担当、袁術軍が侵攻してきた場合への即時対応を行う事になり、少し遅れて俺達の元に来た。着いてからは朱里より上手に内政と防衛をしてみせると張り切っている。
月と詠については本城に残れと言っておいたのだが、雛里の補佐をすれば上手く事が運べるからと着いて来ていた。ただ、二人の到着で歓喜湧き上がったバカ共もいる。それが徐晃隊の面々。彼らは洛陽で最後まで残っていた為に月や詠とかなり親しくなっており、週一で共同夕食を共にしたいと兵達から懇願される始末。それなら二人を守る為に練兵メニューを倍にしようかと冗談で言ってみても文句を言わず喜んだ辺り、彼らにとっては彼女達との食事はそこまで大切な時間のようだった。
余談だが、副長は詠がお気に入りであり、一度でいいから眼鏡をくいと上げる仕草と共に踏まれたいとか。徐晃隊の中で劉備軍の癒しは誰かと聞くと雛里派、月派、詠派でファンが分かれてたりもする。ちなみに雛里派の筆頭が俺である事は言うまでも無いだろう。朱里は徐晃隊と関わりが薄いのと俺にお説教をするから癒しには含まれないのは内緒だ。
そんなこんなで着々と防衛の力を溜めて行く中、本城にいる朱里から雛里宛てに一通の手紙が届く。それは朱里からでは無く、かつて勉学に励んでいた水鏡塾の友達からだったそうな。
「よし。お前ら、今日の訓練は終わりだ。各小隊で確認と復習をしておくこと。戦は何が起こるか分からん。最悪の場合も想定しておいて損は無いだろうから頭に叩き込んでおけよ。じゃあ解散」
その日の練兵を終えて、徐晃隊の兵達が疲労困憊の様子で隊舎に戻っていく。横を向くと鈴々も練兵を終えたようで元気よく食堂のある方へと走っていくのが見えた。
この街に来てからは鈴々の隊と練兵を共にしているが、連携と呼べるモノはある程度カタチになって来ていた。
張飛隊の強みは突撃力と突破力。対して徐晃隊の強みはその場その場での対応の柔軟さ。
張飛隊については鈴々が先頭に立つからこその強み……では無く、兵全てにそういう気性の輩が多いのが理由である。兵の質は率いる将によって変わるいい例だろう。
朱里が鈴々と一番相性がよかったので黄巾の時からその指示の仕方、補佐の仕方を盗み、俺の身体の一部と言っても過言では無い徐晃隊のおかげで近付ける事も出来てきた。
身体の一部と言える理由は……戦場では死を身近に感じてしまう為に兵達は上手く力を出せない事が当たり前であり、将や軍師の指示の思うがまま動くなどまずありえないのだが……俺の隊はそのありえないモノに
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