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乱世の確率事象改変
内なる覇を雛は見つめる
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……」

 コクリと一つ、雛里は小さく、力強く頷く。
 雛里は先の決断の時に桃香に対して一抹の不安を覚えていた。例え秋斗がもう大丈夫だと安心していても、雛里にはどうしても信じられなかった。
 桃香の理想は甘すぎて、すぐさま秋斗と同じような覚悟を持てるとも思えなかった。
 益州乗っ取りという名の侵略を是と出来ないのでは無いか、また曖昧な決着で逃げてしまうのではないかと。さらには、そこから守るだけ、という思考に落ち着きかねないとも考えている。
 詠は二人のやり取りを見て雛里と同じ思考に辿り着く。

「益州を手中に収める事が出来ても守るだけになると秋斗は逃げられないわね。その時には民の意識が桃香と秋斗を二つで一つの大徳としてしか認めなくなるし、裏切った場合はどこも受け入れて貰えない。大陸制覇も出来ず、内での飼い殺しが確定。よしんば曹操を倒したとしても孫策との同盟、大陸を二分するだけで終わって次の世代に争いを持ち越し、か」

 自分達が、今の人民が平穏になるのならばそれでいいじゃないか、と言えたらそこで終わる事が出来る。しかしここにいる三人や秋斗はそれを望んではいない。
 孫策、いや、孫家は血族による長い歴史を積み上げるのが力。内で牙を研ぎ続け、また争いが起こるのは必至であろう。
 曹操を引き込めたとして、共にもう一度の乱世を画策しても、裏切り者が乱世を治める事で民に本当の平穏を与える事が出来るだろうか。
 だからこそ、一番重要な選択はここだけ。桃香が大陸を統一する意思を持てるかどうかによって全てが決まる。
 重い空気が部屋を抑える中、月が窓の外を見やり、暗くなり始めている事に気付いた。
 もう既に隊舎の方角からは炊事の煙が上がっており、夕食の時間が始まっている事を知らせていた。

「詠ちゃん、そろそろ行かないと徐晃隊の人達が落ち込んじゃう」
「あ、もうそんな時間?」

 雛里は慌てている二人を見て首を傾げる。

「ふふ、雛里ちゃんは初めてだったね。徐晃隊の人達と私達は七日に一回食事してるんだぁ」
「バカばっかりだから面白いわよ。宴会してるみたいで楽しいし。先の事を考えるのはこれくらいにしてご飯食べに行こう? 今日の料理当番は副長の周倉だから……おもしろいモノが見られるわね」

 にやりと笑った詠は性質の悪い悪戯を企む子供のようだった。そんな詠を見て月はクスクスと上品に笑う。

「で、ではご一緒させて貰います。それと……夕食の後、秋斗さんにお夜食としてつまめるモノを持って行きましょう。情報が入ったら遅くまでご自分で煮詰める方ですので」

 雛里の提案を聞き、二人は優しく微笑む。
 どこまでもこの少女は一人の事を考えているのだと再度確認して。

「うん。じゃあ、三人で何か作って持っていこう」
「一緒に食
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