第八十六話 運という実力その十一
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「そのことについてか」
「ああ、普通は嬉しいだろ」
「確かに嬉しいがだ」
しかしだというのだ。
「それに溺れるつもりもない」
「人望にはか」
「人望に溺れると驕る」
「人気者になるのは気分がいいからな」
「そして有頂天になればだ」
そうしてだというのだ。
「油断が出来あらゆることに隙が出来る」
「仕事にもよくないな」
「だから人望にもだ」
溺れないというのだ。
「私は溺れない」
「あんたも凄いな」
「凄いか」
「普通そこで驕るからな」
社員に好かれている社長、誰でも悪い気はしない立場だ。しかし権藤はそれに驕ることが全くないからである。
「それがないっていうのはな、そんな人ならな」
「首相になってもか」
「いけるだろ、それで戦いにもか」
「もうどうでもいい」
過去のものになったというのだ、彼の中では。
「既に剣は置いた」
「そうか」
「その通りだ、後は君達で楽しむのだな」
「いや、俺もな」
「君もか」
「楽しむつもりはないさ」
このことは最初からだ、中田も剣士の戦いを楽しんではいない、彼は戦いを楽しむことは一度としてしていない。
だからだ、今もこう言うのだ。
「さっさと抜けたいと思ってるんだよ、俺も」
「願いを適えてか」
「剣道は活人剣だろ」
これは中田の剣道に対する考えだ。
「己の心身を鍛えるものでな」
「相手を倒す為のものではないか」
「相手を倒す剣もあるだろうけれどな」
「それでもか」
「俺の考える剣道じゃないんだよ」
右手を手元から前に翻す様に動かしての言葉である。
「剣道は暴力じゃないんだよ」
「暴力か」
「竹刀で生徒を殴ったりしてる先公を叩きのめしたこともあったしな」
「そうした教師は何処にもいるな」
「生徒に比べて身体も大きいし年齢も上で立場もあるしな」
教師の社会的地位は確かだ、聖職者だの先生『様』だの呼ばれているだけはある。知識人に分類してもいい。
「威張ろうと思えば好きなだけ出来るだろ」
「そして悪事を働こうともそれが公にはならない」
権藤も教師の悪事について話す。
「例え公になろうとも日教組が守ってくれる」
「腐って当然の世界なんだよ」
「それが日本の教師の世界だな」
そうなってしまった最大の要因は日教組にある、この偏向した閉鎖的な組織の害毒は計り知れないものがある。
「普通の社会ならいられない輩が多くいる」
「それで生徒に暴力を振るっても問題にならないんだよ」
「普通の企業で暴力を振るえば」
どうなるかというと。
「それで終わりだ」
「懲戒免職だよな」
「今時自衛隊でもだ」
権藤はこの組織、日教組が忌み嫌う組織の名前も出す。
「暴力を振るえば問題になる」
「警務隊があるからな」
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