第八十六話 運という実力その五
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「利権を漁っていても国の為にも動く政治家はいます」
「かつての山縣有朋の様に」
この明治の元勲はお世辞にも清潔な人物ではなかった、奇兵隊の頃隊員の給与をピンハネしていたし維新の頃にかなりの汚職騒動も起こしている。明治帝がこの人物を嫌われていたことにこのこともあったかも知れない。
「例え汚れていてもですね」
「国を思う政治家もいますが」
「そうした自分だけしか考えない人物は」
「政治屋の中でもです」
とりわけ悪質だというのだ。
「それが彼等です」
「ただ利権を貪るだけですね」
「他国とも癒着して」
北朝鮮なりとだ。
「最初はソ連とかなり深い関係があり」
「今ではテロ支援国家とですね」
「他の国ともです」
「そしてただ私腹を肥やすだけですね」
「それが彼等です」
今のその野党、左翼政党だというのだ。
「庶民の為だの庶民的という言葉は心にもないことです」
「まさに考えていることは己だけですね」
「全くです」
二人で話す、そしてだった。
その話の中でだ、浜崎は権藤のその顔を見て問うた。
「権藤さんは彼等とは違い」
「はい、確かに己のことも考えていますが」
野心だ、首相になるその野心はある。
だが、だ。そこで終わるつもりはないしそれ以上になのだ。
「日本を私が考えている素晴らしい国にしようと考えています」
「そうですね、では」
「この選挙をはじめとして」
「政治家になられてですね」
「進んでいきます」
「頑張って下さい、それでは」
「それではですね」
権藤は浜崎に問い返した。
「次のことは」
「派閥はどうされますか」
「派閥ですね」
「そちらはどの派閥に所属されますか」
「実は派閥関係ではまだ」
そうした人脈は築いていない、与党の領袖達とのパイプは既に築いているが派閥のパイプはなのだ。それで言うのだ。
「何も」
「宜しければですが」
「幹事長の派閥にですか」
「はい、如何でしょうか」
「幹事長の派閥は総理の派閥ですね」
「そうです」
浜崎は現総理の第一の即金にあたる、その為首相の懐刀として与党の要職である幹事長に任命されたのだ。
その彼がだ、こう言うのだ。
「今与党で第一の派閥となっています」
「その派閥にですか」
「如何でしょうか」
浜崎は権藤の目を見ながら彼に問うた。
「我が派で」
「では」
一も二もなかった、権藤は応えた。
「お願いします」
「将来は派閥の会長、そして総裁を目指されますね」
「首相も」
そうなってみせるとだ、権藤は確かな声で浜崎に答えた。
「そうなります」
「頼もしいお言葉です、それでは」
「これからも宜しくお願いします」
二人で確固たる言葉を交えさせた、そうして。
その話をしてからだ
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