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不殺の侍と聖杯戦争
本戦
一回戦〜残り128人
一日目
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ったわよね。うん、ちょうどいいわ。ちょっとそこ動かないでね。」


不意に彼女の指先が頬に触れる。それは、彼女がまだ少女であることをはっきりと伝えてくる。


「へえ。温かいんだ。生意気にも。……あれ?おかしいわね、顔が赤くなってるような気がするけど……。」

少女の顔が間近に迫る。その距離に、心臓がどきりと鳴る。
無遠慮に肩やお腹を触る仕草は先ほどの眼差しの主と同一人物かを疑うほどに幼い。拒むこともできず、ただ呆然とその白い指先を眺めていた。


「………なるほどね。思ったより作りがいいなんて、感触までリアルだし。人間以上、褒めるべきかも。………ちょっと、なに笑ってんのよ。NPCだってデータを調べておいた方が、今後何かの役に……」


彼女は顔をしかめ、誰もいない後方を振り返った。おそらくは彼女のサーヴァントがそこにいるのだろう。


「……え?彼もマスター?ウソ……だ、だってマスターならもっと…………ちょ、ちょっと待って、それじゃ、今調査で体をべたべた触ってた私って一体―――」


つい先ほどの行動をおもいだしたのか、顔を真っ赤にしてしまった。こちらもあらためて顔が熱くなる。


「くっ、なんて恥ずかしい……。うるさい、私だって失敗ぐらいするって―の!痴女とか言うなっ!」


後半のセリフは彼女のサーヴァントが茶々でも入れたのだろう。


「職業病みたいなものよ。これだけキャラの作り(モデル)が精密な仮想世界もないんだから、調べなくて何がハッカーだっての。大体、そっちも紛らわしいんじゃない?マスターなのにそこらのモブと同程度の影の薄さってどうなのよ。今だってぼんやりした顔して。まさかまだ予選の学生気分で、記憶が戻ってないとか言うんじゃないでしょうね?」


……返答に困る。彼女は冗談で言ったのだろうが、それは紛れもない事実だったのだから。当事者の自分も途方に暮れてしまうほどの。


「え……ウソ。本当に記憶が戻ってないの?それ、かなりまずいわよ。聖杯戦争のシステム上、ここから出られるのは、最後まで勝ち残ったマスターのみ。途中退出は許されていないわ。記憶が戻ってなくても、今までの戦闘経験(バトルログ)がなくても、ホームに戻ることはできないわよ?……あ。でも別に関係ないか。聖杯戦争の勝者は一人きり。あなたは結局、どこかで脱落するんだから。」


彼女の心配そうな声が、急に醒めた。目の前にいるのは、聖杯を奪い合う敵。その事実を思い出したかのように。―――いや、目の前の一人だけではない。この聖杯戦争に来ているものはすべてが敵なのだ。


「彼女のいう言は至極まっとうでござる。戦う意味を持たぬことは命の取り合いにおいては致命的でござるからな。」


自分は、敵に挑発され、
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