本戦
一回戦〜残り128人
一日目
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くに存在していることはわかる。
用のないときは姿を消しているのだろう。敵にみられて、正体を悟られないためかもしれない。まあ、英霊を見たことある、なんて奴がいるわけもないので外見で正体はばれないと思うが。
と、保健室のドアがあき、少し紫がかった髪をした少女が入ってきた。彼女のことは知っている。保健委員の間桐桜だ。
「あ、岸波さん
目が覚めたんですか?よかったです。
体のほうは異常ありませんからもうベッドから出ても大丈夫ですよ。それと、セラフに入られたときに預からせていただいた記憶は返却させていただきましたので、ご安心を。聖杯を求める魔術師は門をくぐる時に記憶を消され、一生徒として日常を送ります。そんな仮初の日常から自我を呼び起こし、自分を取り戻した者のみがマスターとして本戦に参加する―――
以上が予選のルールでした。貴方も名前と過去を取り戻しましたので、確認をしておいてくださいね。」
……名前と、記憶を取り戻す……?
それはおかしい。確かに名前ははっきりと口にできる。
しかし、記憶がまったく思い出せない。学園にいた頃は、みな普通の生徒だったと思い込まされていた、というのはわかった。しかし自分は、いまだ以前の記憶が思い出せない―――!
「え、記憶の返却に不備がある、ですか……?それは私には何とも。間桐桜は運営用に作られたAIですので。」
抗議の声はあっさりと無視された。どうも、彼女は与えられた役割をこなすだけの仮想人格のようだ。
「あ、それからこれ、渡しておきますね。」
渡されたそれは、何かの携帯端末らしい。とりあえず連絡用の物みたいだが、別の用途もあるかもしれない。
「本戦の参加者は表示されるメッセージに注意するように、との事です。それと、言峰神父には会いましたか?本戦は厳しい戦いが続きますが、頑張ってくださいね。」
とりあえずは情報収集をすることにした。
屋上へ行くと、一人の少女がいた。壁や床やらをぺたぺたと触って何やら呟いている。あれは……直接の面識はないが、遠坂凛だろう。容姿端麗、成績優秀な学園のアイドル。噂でも聞いている。友人である間桐慎二からも随分と愚痴を吹き込まれた。ただ、そうした評判などは、あの平和な学校にいたころのもの。今は修正する必要がある。彼女の瞳に宿る強い意志の光は、偶像などという淡いイメージの存在ではありえない。彼女の纏う空気はここが戦場であることを如実に示している。実感はないがここにいるすべての人間は殺すか、殺されるかの関係なのだ。と、彼女がこちらに気付く。
「……あれ?ちょっと、そこのあなた。そう、あなたよ。……そういえば、キャラの方は、まだチェックしてなか
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