第十九話
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「……護れなくて、すまなかった……」
キリトとアスナにアルゲートそばに呼ばれた夜、俺は第十九層《ラーベルク》の非モンスター出現エリアにいた。もう夜は深く、辺りには誰もいない。
謝罪の言葉と共に、《フローリア》で買ってきた花を近くの木に植え、両手を合わせて祈りだす。
……ここは、俺にとって消え去って欲しい、けれど忘れられない思い出の場所だった。
「――ッ!?」
黙祷という名の祈りを続けていた俺に、システム外スキル《気配探知》が殺気を持った人物が背後から近づいていることを告げ、急ぎでいつでも抜刀が出来るような態勢に、自らの身体を移行させる。
ザッザッと草を踏みしめる音が近くなり、月明かりの元にその姿を現した人物は……
「良い夜だな……goodevening .《銀ノ月》」
その長躯を膝上までのポンチョで隠し、目深にフードを被っている。
その手元には、モンスタードロップの最強クラスの魔剣である大型ダガー、友斬包丁《メイト・チョッパー》を構えている。
その外見を見間違える筈がない。
その外国語交じりの口調も聞き違える筈がない。
俺の前にいるこいつは――
「《PoH》……!」
最強にして最悪のレッドギルド、笑う棺桶《ラフィン・コフィン》のリーダー、PoHがそこにはいた。
そして、横には二人の幹部を連れて。
「ヘッド、向こうの、《DDD》の方に、行かなくて、良いのか?」
髑髏マスクの男に……DDDのこととは、俺には何のことだか分からないが……問われたPoHは、どうでも良さそうに答えた。
「ああ……アッチはザザ、ジョニー。二人に任せる。俺はコイツに用があるからな」
「流石はヘッド! 話が早い!」
子供のような小柄な男は陽気な声を響かせ、髑髏マスクの男は無言でその場を去っていった。
二人が歩いていった方向にあるのは、小さな丘があった筈だが……そんなこと、今は知ったこっちゃ無い。
「抜刀術《十六夜》!」
挨拶代わりに放った抜刀術《十六夜》は、なんなくPoHのバックステップに避けられ、俺とPoHの距離に一定の間が空いた。
「殺してやるよ……PoHッ!」
……すまないが、少し、昔話に入らせてもらう。
昔話と言っても、そんなに昔のことじゃない、だった一年前の今日のことだ。
その頃のショウキは、傭兵ではなく、ある小規模の商人ギルドの一員だった。
無論、ショウキが商人だったわけ
ではなく、ギルドメンバーの商人たちがダンジョンに潜るときの用心棒といい感じだった。
その商人ギルドは、実際の攻略には参加しないものの、ダンジョンに潜り、その時に得たレアアイテム等を攻略組や中層プレイヤーに売るという商法をしていた。
……攻略には
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