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このクラスに《比企谷八幡》は居ない。
けれど『雪姫暦』は神崎奏が好きだ。

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ーーーー職員室。
「神崎。はラパンしていいか?」
「何ですか!?急に!」
俺は二階堂先生に職員室へ呼び出された。
「合コンがぁ・・ダメだったのぉ・・・」
先生が机に突っ伏す。
「先生、地が出てますよ。」
「なんでこんな私をほっとくの!?神崎、私を貰って!?」
「えっ・・いや、その・・・」
「やっぱり雪姫がいいんだろ!?へっ、私の方がバスト大きいのに!へっ!」
自然と目が行く。
「貰ってください。」
二階堂先生が目を瞑る。
「生徒に手を出す気ですか・・・」
俺はぬるりと避ける。
「それじゃあ、デートだけでも!」
「だが断る。」
「がーん!」
俺は机に突っ伏した先生をほっといて外へ出た。
「はぁ・・・」
「溜め息をつくと幸せが逃げるよ?」
廊下にいたのは雪姫暦だった。
「おお、居たのか。」
「うんっ!教室戻る?」
「いや、戻っても気まずいからな。」
俺は雪姫を置いて歩き出そうとした。
「ちょっと待ってよ」
雪姫は俺の後ろに付いてきた。
「いいのか?友達とか。」
「だ・か・ら!私は神崎君のことが好きなの!」
くっ。改めて言われると揺れる・・
だがしかーし!俺は勘違いで揺れるような男だ。負けることに関しては俺が最強。
俺だけのスキル。
「はぁ、なんで分かってくれないかな・・・私は神崎君を恋愛感情として好きなの!罰ゲームでも何でもない。」
目は真剣そのものだ。
「へっ、どうせ言われてやってんだろ?」
俺は卑屈に笑う。
「神崎君!」
「っ・・・」
俺は涙目の雪姫に一括される。
「私だって・・私だって・・・」
「・・・・」
雪姫は泣き出してしまった。
「雪姫・・・」
こういうのはラノベに、八幡に任せて置けばいいのかもしれない。
だが、こういうのもいいだろう。

八幡、お前にひねくれぼっちを任せる。

「・・・・」
雪姫は走って帰ろうとする。
「雪姫っ!」
「っ・・・・」
「俺は・・・・お前のことが好きだ!」
「・・・・」
雪姫は足を止める。
「これはお前が可愛そうで言ったわけでも、罰ゲームでもないっ!」
雪姫はそれでも何も言わない。
「俺は卑屈で・・陰湿で・・ひねくれてる・・・気持ちも伝わりにくいかもしれん。それでも・・・俺と付き合ってくれるのか?」
しばらくの沈黙、雪姫は口を開いた。
「・・・はいっ!」
雪姫は涙を振り払って俺に抱きついてきた。
「お、おいっ!こんなところで・・見られたらどうするんだ!?」
「神崎君!大好きです!」
俺は昔から独りぼっちで誰にも相手にされなかった。だから人の心を読むのが苦手だ。八幡のようなスキルはない。卑屈でひねくれぼっちで性格が悪い・・・

けれど『雪姫暦』は神崎奏が大好きだ。
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