10『タイタンズハンド』
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その男は、俺にお前らを監獄送りにしてくれ、って頼んだんだよ。……わかるか?あいつの気持ちが」
ヘルメスの言葉に、しかしロザリアは動じない。
「はん!わかんないわよ。何よ、それ。マジんなっちゃってバカみたい。ここで人殺したって、ホントにそいつが死ぬ証拠なんてどこにもないしぃ?アタシそういう奴が一番嫌い。この世界に勝手なルール持ち込む奴がね……それより、自分たちの心配をしたらどう?」
にやり、とロザリアが嗜虐的な笑みを浮かべる。ぱちん、とその指が鳴らされると、それに惹かれた様に木々の陰が歪み……身を隠していた十人ばかりのプレイヤーが姿を現した。十人中九人がオレンジプレイヤー。唯一のグリーンは、シリカの部屋を盗み聞きしていた、あのとんがった髪の男だった。くわえて、全員がいかにも旅人を襲う盗賊めいた装備・服装をしていた。
「ヘルメスさん、数が多すぎます!逃げないと……」
「……君は結晶を用意して、見ていてくれ。それと……少し、怖い思いをさせるかもしれない。先に謝っておく。すまない」
「……ヘルメスさん!」
歩み去って行くヘルメスに、シリカは叫び声をあげる。すると、その叫びを聞いたオレンジプレイヤーの一人が、懐疑的な表情を浮かべた。
「……ヘルメス?」
その言葉を待っていたかのように――――ヘルメスは、アイテムウィンドウを出して、そこから一つの金属塊を取り出した。シリカに渡した武器を作った時のそれとは、比べ物にならない輝きのそれを。
「――――《等価交換:最上位片手剣作成》」」
すると、インゴットが白銀の輝きを放ち、美麗な長剣へと姿を変えた。陽光を反射して、白銀の刀身が光る。
「……今俺が使っている剣の中で、二番目に良い剣だ。明日あたり錬成しなおそうと思ってインゴット化しておいたんだが……まさかこんなふうに役立つとはな」
ヘルメスが苦笑いする。しかし、盗賊たちはそれに反応する余地もないようだ。最初にその名前を呟いたオレンジが、わなわなとふるえながらロザリアに言った。
「れ、《錬金術》だ……やばいよロザリアさん。こいつ、最前線で《詐欺師》って呼ばれてるチーターだ……お、俺、このギルドに入る前に前線に知り合いがいたから分かる……こいつ、やばい……!!」
「そ、そんな奴がここにいるわけないじゃない!!本物だとしても、この人数でかかればどうってこと無いわよ!行きなさい!!」
ロザリアの叱咤を受け、オレンジたちはヘルメスに向かって剣を構える。しかしヘルメスは、優美な動きで剣を振り払い――――迫りくるオレンジ全ての四肢を切り落とした。
「な……」
「うそ、
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