10『タイタンズハンド』
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ひまわりの首根っこに、短剣のソードスキルを繰り出す。閃いた銀色の一撃が、動く植物モンスターのHPを一瞬で刈り取り、その体を四散させた。いくらなんでも弱すぎでしょ……少し、そう思わなくもなかった。
とりあえず、ヘルメスの方を振り返って、聞く。
「……見ました?」
「見てない」
ヘルメスは、相変わらず顔を両手で覆ったままだった。
その後の戦闘はスムーズに進んだ。醜悪な外見のモンスター達にも、先頭を重ねていくことでだんだんと慣れていった。一度だけ、イソギンチャクの様なモンスターに絡まれたときは危うく気絶しそうになったが……。
だが、その時もそれ以外のときも、どうしても動けない時はヘルメスが助けてくれた。ヘルメスは大抵の場合、モンスターの攻撃を素手でいなすと、脆弱な弱点部分をシリカが狙いやすいようにモンスターを誘導する。シリカが攻撃を決めると、それらは一瞬で消滅していった。しかし彼らは非常に弱い割に、与える経験値が多い。SAOでのパーティープレイにおいては与えた攻撃回数に応じてもらえる経験値が増加するらしいので、一撃で倒しているにしては破格の経験値領だった。後に知ったことなのだが、この時シリカが一撃でモンスター達を倒し、大量の経験値を手に入れられていたのは、武器のランクが超高レベルだったこと、そして、ヘルメスに与えられたアイテムの中に、獲得経験値を1.2倍にするものが含まれていたことに起因するらしい。
兎にも角にも、シリカの快進撃は続き、《思い出の丘》に到着する頃にはレベルが二つも上がっていた。
「……さて、ここから先が思い出の丘なんだが……この先のモンスターは、フィールドMobとは一味違う、《ダンジョンMob》だ。フィールドダンジョンだからそこまで強くはないけど、結構な数が出てくるし、それなりな強さはあるからもしかしたら弱点を突いても一撃で倒せないかもしれない。気を付けてくれ」
「はい!」
ヘルメスの言うとおり、モンスターとのエンカウント数は激しくなり、まれに一撃では倒せないモンスターも出てきた。しかし、ヘルメスからもらった錬成短剣の強さは非常に高く、それでも大抵のモンスターを一撃で撃破することができた。
強い、と言えば、ヘルメスも非常に強かった。一人では相手にし切れない数のモンスターが時折出現するようになったため、ヘルメスも戦闘に参加するのだが、彼は銀色の長剣のひと撫でだけでモンスターを撃破してしまうのだ。それに、なんというか、『戦い方が美しい』。洗練された剣術の使い手。そんな印象を与えられる、非常にきれいな戦い方をしていた。お兄さんが戦い方を教えてくれた、と言っていたが、どんな訓練をすればここまで綺麗に戦えるのだろうか。
それに、ヘルメス
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