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錬金の勇者
10『タイタンズハンド』
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たりしている。ヘルメスから直接アイテムを買おうとしないプレイヤーも、さすがに命綱にもなる結晶アイテムは見逃せないのか、いくつか買っていくことがある。そうして手に入れた(コル)で、さらに新しいアイテムの素材を買ったりするのだ。

 無償配布ではないのは、ヘルメスにも食材や素材を買うための金が必要であること(ヘルメスが自分で錬成できるアイテムの中には、現状、なぜかコルがない。もっとも、モンスター撃破時に金は手に入るのだが)、《結晶錬成》には、錬成に大量の金貨(素材としての役割であり、別に銀貨でもよいと思われるが)が必要となることなどが挙げられている。ちなみに《結晶錬成》で錬成できるアイテムの中に《蘇生結晶系》という物があるのだが、残念ながら現在その項目はグレーアウトしており、錬成は不可能となっている。

「あぶない、と思ったらすぐにそれで逃げるんだ。いいな」
「はい」

 シリカがしっかりと頷く。ヘルメスは微笑してそれに頷き返し、それでは、行こうか。と、橋の向こうへと渡った。


 *+*+*+*+*+


 モンスターは弱いから、取り乱したりしないで冷静に対処すること。そう、ヘルメスに言われた。だからシリカは、どんな外見のモンスターが出てきても、決して騒いだりしない様にしよう、と思っていた。思っていた、のだが……。

「いやぁぁぁっ!なにこれ!来ないでぇえええ―――――っ!」

 出現したのは、二メートルほどは在ろうかと言う、ひまわりを醜悪にカリカチュアライズしたようなモンスターだった。人のそれに良く似た、大きな歯がならぶ口をいっぱいに開いたその下、首の付け根と言えなくもないような、寄席集まった茎の様なものとの境目に、脆弱そうな白い部分があった。しかし……

「いやぁぁっ!」

 なまじ花が好きなだけあって、その外見には生理的嫌悪を催す。モンスター……固有名詞、《ウィーグ・ゾンネブルム》を見ないようにやみくもに短剣を振るが、当然の様に攻撃は当たらない。なすすべもなく接近されて、しゅるしゅると伸びてきた蔦に足を取られて、宙吊りにされてしまう。

「きゃぁ!?」

 仮想の重力に馬鹿正直にしたがってずり落ちようとするスカートを取り押さえるが、その無理な体制ではなかなか攻撃が当たらない。

「ヘルメスさんたすけてぇ!見てないで助けて!!」
「み、見るなと言われてもだな……」

 ヘルメスの方を見ると、彼もまた正直に両手で顔をしっかりと覆っていた。ああ、これはダメだな……とシリカは覚悟すると、

「ええいっ!」

 一瞬。一瞬だ。それにヘルメスは見てない。そう念じて、スカートから手を離した。ばっ、と音を立ててスカートがめくれ、その下に履いていたパンツが丸見えになる。しかしそれを何とか無視して、歩く
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