10『タイタンズハンド』
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撃で終わる。だから、取り乱したりしないで冷静に対処すること。いいね?」
「はい」
よし、とヘルメスはうなずく。
「それと、みんな雑魚って言っても、もしかしたら何か予想外のことが起こるかもしれない。第一層のことなんだけど、雑魚しか出てこないフィールドに、いきなりフィールドボス級が出たことがある」
「えぇ!?」
シリカが声を上げて驚く。無理もない。ヘルメスですら、アインクラッド第一層で《森の秘薬》クエストをキリトと共に進行中、突然巨大な上位モンスター、《ジャイアント・リトルネペント》が出現した時は危うく錯乱するところだったのだ。あの時はキリトと言う頼もしい相棒がいたからまだしも、今隣にいるシリカは、恐らく……というかほぼ確実にキリトより弱い。むろん、自分よりも。
だからもしものときには、シリカを守りつつ、自分だけが戦わなければいけない。それが苦だ、というわけではないのだが、時としてシリカが足手まといになってしまう場合が存在するかもしれない。
だから――――
「もしそんなことがあったら、迷わずこの結晶で脱出すること」
そう言って、ヘルメスはアイテムストレージから、銀色の結晶アイテムを取り出し、シリカに手渡した。シリカはもの珍しそうに掌の上の結晶を眺める。
「なんですか、これ……」
「それは《結晶錬成》で作れる、最上級品《完全転移結晶》。使用から転移までのタイムラグはゼロ、一切のトラップや妨害効果を無効化して転移脱出できる代物なんだが……君に渡したそれと、あと一つ別の人間に渡したの意外にはこの世界に存在しないアイテムだ」
シリカの表情が凍り付く。それはそうだろう、とヘルメスは心の中で頷く。ヘルメスだって、世界にひとつしかないアイテムを渡されたら扱いに困る。最近はレアアイテムは全て素材に変換してしまっているのだが……。
「そのアイテムはたぶんユニークドロップと思しきアイテムを結晶錬成素材にしようと思ったら、《転移結晶》の代わりに出てきた奴でな……素材になったアイテムがもうないから、多分二度と出来ない」
《完全転移結晶》は、アインクラッド第四十三層の隠しダンジョンの一つ、《水晶湖》と呼ばれるところに出現したフィールドボスモンスター、《ザ・クリスタルマスター・ドラゴン》のドロップアイテムから作られた。このダンジョンは転移結晶や回復結晶、さらには回廊結晶などをほぼ無尽蔵にドロップする宝物庫のようなダンジョンだったのだが、最奥部に待つボスを撃破したあと崩れ去り、現在は中に入ることができない。
ヘルメスは此処で手に入れた結晶アイテムや、素材を錬成して作った結晶アイテムの大半を雑貨屋やNPCショップに売り払ったり、自分で売ったりし
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