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フェアリーテイルの終わり方
八幕 Sister Paranoia
10幕
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 フェイは再びその場の顔ぶれを見渡し、改めて口を開いた。

「ねえ。何でお姉ちゃんとルドガーはいないの?」

 皆、一様に暗い顔をして目を逸らしたり俯いたりした。フェイを直視したのは、ガイアスと――マクスウェルのミラだけだった。




 ジュードは密かに危惧していた。
 エルはミラを〈ミラ〉として扱うことに怒って行ってしまった。妹のフェイも、ミラの存在を拒絶するかもしれない。

 ミラ――正史世界のミラ=マクスウェルと、フェイ・メア・オベローンが見つめ合った。

 フェイは寝ぼけ眼に似た半眼のまま、ミラへ歩み寄り、間を置いてミラの正面に立った。

「あなたが、ホンモノのミラ?」
「ああ。ミラ=マクスウェルだ。初めまして、フェイ・メア・オベローン。エレンピオスの〈妖精〉」
「ミラ…マクスウェル…ミラ…ミラ、さま…ミラさま」

 しっくり来る呼び方を見出したらしく、フェイは一人こくこくと肯いた。

「じゃあ、ミラさま」
「何だ? フェイ」
「わたしと戦ってください」

 フェイは手を挙げた。舞踏会でダンスに誘われた貴婦人にも似た優雅さで――紫電の球体に入った雷神、玲瓏たる氷花、揺輝の巨鳥、目も鼻もない影の人型を召喚した。

「ありえない…! 詠唱も動作も一切なしでの大精霊召喚ですと!?」

 ローエンが呻いた。ジュードも背筋が冷えた。ノーアクション・ノンスペルでここまでできるならもはや精霊の域。
 〈妖精王(オベローン)〉のコードネームはエレンピオス側の誇大広告ではなかった。
 ミラの地水火風とは対照的な、されども強力な4体の大精霊を従える白い少女。まるでエレンピオス側の精霊の主(マクスウェル)だ。

「ヴォルト、セルシウス、アスカ、シャドウ。なるほど、それが君に従う者たちか」
「従ってなんかない。セルシウス以外は、みんなフェイをいじめた精霊たち。何でもするから許して、って言って来たから、それからこうしてたまに守ってもらってる。わたしとこの精霊たちを繋ぐのは、元被害者と元加害者っていう過去だけ」
「償いのために人間の少女の下に付いたか。安直な」

 フェイの目の血霞に怒りの火色が混ざった。

「じゃあ精霊は人間よりエライの? 精霊が人間の下に付くと何かオカシイの? 教えてよ、ミラさま」
「どちらが上でも下でもない。我らは対等のものだ。――私が嘆いたのは後ろのお前たちの態度だ、エレンピオスの大精霊たちよ。最初はフェイに怒りの捌け口を押しつけ、それが心苦しくなるや、手の平を返して頭を垂れてフェイを甘やかした。結果として出来上がったのは、世間知らずで怖がりの思い上がった箱入り娘。1年前の私そのものだ」

 怖がり。思い上がり。このワードがトリガーとなったかのように、白い少女はミ
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