暁 〜小説投稿サイト〜
フェアリーテイルの終わり方
八幕 Sister Paranoia
9幕
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むのに合わせて、フェイは両足を地に着けてその場に立ち上がる。ふらついたが、アルヴィンが支えてくれた。

 鈍く痛む頭を巡らせてその場の顔ぶれを見回す。いるはずの人が、いない。

「ねえ。お姉ちゃんとルドガーは……」
「フェイリオっ」
「……マルシアのおばちゃん」

 〈妖精〉でなくフェイを心配する色のラベンダー・アイ。姉とルドガーの翠眼の次にフェイが好きな色だ。

「ヘリオボーグから出られたと聞いてたけれど。こんな場所で会ってしまうなんて」
「出た。今はただのフェイ。フェイ・メア・オベローン」
「分かったわ……こうしてちゃんと会うのは初めてね」

 マルシアは眦を緩めて、フェイの横の髪を耳にかけた。
 マルシアの手に触れようと左手を挙げて、フェイは左手に包帯が巻かれていることにやっと気づいた。

「おばちゃん、ヘーキだった? ケガしてない?」
「大丈夫。私より、あなたのほうこそ――辛かったでしょう」

 答えられなかった。そんなフェイを、マルシアはそっと抱き寄せて背中を叩いてくれた。

「あなたたちのおかげで無事、調印式も行えたわ。私はこれから仕事だけど、あなたは一人で大丈夫?」
「ダイジョウブ。一人じゃないから」
「そうだったわね。――何かあったら連絡をちょうだい」

 マルシアは秘書官と共に、ガイアスとローエンに暇を告げて場を去った。
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