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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第83話 舞踏会の夜
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は既に、すべて目を通して居るからなのかは判りませんが、精神的にも表面上と同じように安定しているタバサ。

 何となく、この部屋に訪れた時だけ、ふたりの反応に差が出るのは少し面白いような気もしますが。
 尚、ティターニアに関しては、タバサや湖の乙女と違い、読書と言う行為が目覚めて居る時間の半分以上を費やす人物……だと言う訳ではないので、この部屋を訪れても、別に普段とは違った反応を見せると言う訳では有りません。

「その辺りを片付けてから、適当なトコロに座りな」

 そう言いながら、執務机の前……大体、三メートル程前方の来客用のソファーを指し示すイザベラ。
 但し、そのソファーの上にまで並べられた本、本、本。当然、そのソファーに付随するテーブルの上にも、本屋に平積みにされた状態の書籍が山のように並べられて居るので……。

 尚、彼女、イザベラに関しても既にアガレスの職能で日本語を頭に叩き込んで貰っているので、この場に存在して居る書籍の三分の一ほどは、ハルファスが調達して来た和漢に因り綴られた書籍と成って居ります。

「それで、姉上。急に呼び出された理由は何なのですか?」

 既に立太子の儀も終わった十二月(ウィンの月)第二週(ヘイムダルの週)、オセルの曜日。
 いや、今宵が今年最後のスヴェルの夜だと言う事を考えると、今日、このイザベラの執務室に呼ばれた理由が北花壇騎士としての御仕事に関してでない事を祈るしかないのですが……。

「ロマリアが聖戦の勃発を宣言するらしい」

 俺たち三人がソファーに腰を下ろしたのを確認したイザベラが、相変わらず紙製の書類に羽根ペンでサインを記しながら、そう言う。
 尚、四人目の湖の乙女は、既に書架の前に自ら専用の椅子を用意して座り込み、ミニスカートから覗く膝の上に分厚い書籍を広げて、視線を上下させています。

 しかし……。

「聖戦と言うのは、エルフに支配された聖地を奪還しようとする、あの聖戦の事なのですか、姉上」

 口調としては、明らかにうんざりとした口調で問い返す俺。
 そう。この世界は地球の中世から近世のヨーロッパに近い生活様式を持つ世界。
 そして、其処に暮らす人々が信仰する宗教。ブリミル教には、その始祖ブリミルがこの世界に降り立ったと言われている聖地が存在し、その聖地を、ブリミル教の敵とされるエルフが支配する状況と成って居る。
 まぁ、地球世界のキリスト教が、イスラム教に支配された聖地を奪還する為に、中世に何度も聖戦を発動させたのと同じような状態だと考えたら、割とすっきりと受け入れられる状態ですか。

「そうさ」

 最後の書類……には見えないので、仕事を途中で切り上げて立ち上がり、俺たちの正面のホスト側に移動して来るイザベラ。
 しかし、聖戦か
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