第5章 契約
第83話 舞踏会の夜
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【始祖ブリミルに付いて聞きたい。そいつは一体全体どんなヤツやったんや?】
流石に、実際の声で問い掛ける訳には行かない理由はこれ。いくらなんでも、自らが王子……いや、王太子役を演じる国の国教に定められている宗教で一番重要な神の事を知らない、などと言う訳には行きませんから。
確か以前にタバサから聞いた話では、何者かに支配されたこのハルケギニアの人々に対して系統魔法を伝え、圧政から解放してくれた民族的英雄と言う事ぐらいしか知らないのですが……。
しかし……。
【不明】
短く返される湖の乙女の【言葉】。そして、
【私も始祖ブリミルと言う存在に関しては、残念ながら伝聞でしか存じ上げません】
続けて、ティターニアも同じ意味の言葉を返して来る。
う〜む。確かに、伝説のままの存在だと仮定するとその始祖ブリミルが存在していたのは六千年以上前の話ですから、いくら寿命のはっきりしない精霊であろうとも、そんな遙かな過去から存在していた、と言う訳でなければ伝聞に成るのは仕方が有りませんか。
成るほど。それならば別のアプローチの仕方を考えるしか方法が有りませんか。
【それやったら、そのブリミル教の始まりの部分。歴史について教えて貰えるか】
そう考え、今度はタバサと湖の乙女のふたりに対して問い掛ける俺。
尚、ティターニアに関しては……。彼女が最後に契約を交わした、後の世では怠惰王ルイ五世と呼ばれる人物は、おそらく、そのブリミル教の策謀により暗殺された可能性が高いので、今回は流石に聞く事が出来なかったのですが……。
しかし、
【不明】
矢張り短く返される湖の乙女の答え。しかし、今回は更に続けて、
【あなたを失ってから、わたしは再びあなたに出会うまでずっと眠り続けていた。その間は、水の循環を熟して居ただけで人間の世界への強い関心を持つ事はなかった】
……と伝えて来る。
確かに、今の俺が知って居る彼女の能力が有れば、水の秘薬を密売する商人に仲間が攫われる事は有り得ないでしょう。つまり、前世での生を何らかの形で終えた俺が別れた後に、彼女は世界との一切の関わりを断って眠りに就き、その後、俺がこの世界に再び顕われた兆候を感じ取った事から、その深い眠りから目を覚ましたと言う事ですか。
ただ、水は感情を記憶する物です。そして、彼女がこのハルケギニア世界にあまねく存在して居るすべての水の精霊を支配し切って居る訳ではないと思いますから、時間さえ掛けたのならば、ある程度の情報ならば得られる可能性がゼロではないと思いますね。
もっとも、彼女自身の経験でない以上、結局は伝聞。情報の信頼度と言う点に於いては、それなりのレベルにしかならないとは思いますが……。
そして、
【わたし
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