第八章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
コーチの一人が彼に尋ねた。
「スクイズじゃ」
古葉は短い言葉でそう言った。
「まさか」
コーチはそれを聞いて首を横に振った。
「西本さんですよ。まさかこんな時にスクイズなんて。それに」
「御前の言いたいことはわかっとるけえ」
古葉は彼に対して言った。
「あの時のことやろ」
「・・・・・・はい」
コーチはその言葉を聞き頷いた。
十九年前の日本シリーズ、大毎と大洋の戦いであった。この時西本は大毎の監督をしていた。
このシリーズは今だに語り草となっている。三原マジックがその妙技を見せつけたシリーズであった。
ターニングポイントは第二戦であった。
八回表、大毎の攻撃であった。スコアは三対ニ、大洋一点リードであった。
マウンドにいるのは大洋の誇るエース秋山登、バッテリーを組むのは盟友土井淳である。当時このバッテリーは難攻不落と呼ばれ怖れられていた。
だが一死満塁、大毎の逆転のチャンスである。
当時大毎は強打のチームであった。いよいよそれが爆発するものだと誰もが思っていた。
打席に立つのは五番の谷本稔。西本はここでスクイズを命じたのである。
「なっ!」
それを見た観客達は思わず唖然とした。まさかここでスクイズとは。
だがそれは失敗した。ダブルプレーに終わりその回の攻撃は終わった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ